2016 Fiscal Year Research-status Report
多結晶磁歪合金の高性能化をもたらす組織設計と配向制御指針の確立
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15K18230
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
小貫 祐介 茨城大学, フロンティア応用原子科学研究センター, 産学官連携助教 (50746998)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 集合組織 / 逆磁歪材料 / 高温変形 / 優先動的結晶粒成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度までに得られた高温変形実験の結果、Fe-Ga系においても申請者らの提唱する「高温動的結晶粒成長」による集合組織制御が可能であることが分かった。また磁歪測定では単結晶に迫る結果を得ており、仮説と手法の有効性を確認した。この成果を論文としてまとめ、論文誌「ISIJ International」へ投稿、受理・掲載された。 しかしながらこの実験は単軸圧縮変形を用いたので、変形した後の板状試料の面法線方向には強い結晶軸配向があるのに対し、板面に沿った方向にはそれほど強い配向を得ることはできていなかった。ところがこの論文の投稿中、査読者の指摘などから、複数回の単軸圧縮変形によって面内配向のある材料、もしくは長手軸方向に配向の強い角柱状の試料が得られる可能性が示唆された。 当初計画では本年度は理論構築にあたる予定であったが、上述のように実用上望ましい材料が作成できる見込みが立ったため、実験主体の研究を継続した。2方向からの圧縮変形による理想的な集合組織制御の可能性は見いだせており、変形条件の最適化が現在の目標である。 また、本年度は中性子回折による集合組織評価にも取り組むことにした。透過能の高い中性子線を用いることで、試料全体の集合組織を精度よく求めることが出来、理論構築および性能評価においても、有用かつ信頼性の高いデータが得られることが分かっている。 弾性率などの機械的特性を評価するための機器整備も進み、集合組織と機械的特性の相関を示す、本研究では2本目の論文の準備に現在着手している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
論文掲載に至ったことで、当初提案の仮説の検証段階は終了した。しかしながらその中で、当初計画にあった平面ひずみ圧縮変形よりも有望な変形プロセスとして、2段階・2方向圧縮変形が持ち上がったため、理論構築よりも実際的な材料提案を指向した実験検討を主として本年度は研究を進めた。 本研究のゴールは理想的な微細組織・集合組織制御プロセスの提案であるから、この観点からは、着実に研究は進んでいるものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2段階・2方向性圧縮変形の有効性は確認できつつあるので、今後もその条件最適化を行っていく。より先鋭な集合組織を、より短時間のプロセッシングで形成する可能性を検討する。条件の精密化に成功すれば、現在よりもスケールアップした材料に対し集合組織付与を行い、その性能評価と性能発現機構を調査し、プロセッシングの有効性を科学的に裏付けする。
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Causes of Carryover |
旅費や物品費の一部を、他の研究予算で賄うことが可能であったためである。材料や薬品の調達に問題はなく、研究の遂行状況には影響を及ぼしていない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
小型試験片を用いた検討が順調に推移したため、平成29年度はより大きな材料に対するスケールアップ実験に取り組む予定である。これは現在本学にある100kN油圧ホットプレスを用いて行う予定であるが、各部の老朽化、欠品や、現在の観点から安全上問題のある部分があり、稼働可能な状況にない。このため本装置のオーバーホールおよび目的とする実験への最適化改造に予算を用いることを計画している。
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Research Products
(1 results)