2016 Fiscal Year Annual Research Report
Thermoelectric properties of Si-NiSi2 Nanocomposite with coherent grain boundaries
Project/Area Number |
15K18233
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大石 佑治 大阪大学, 工学研究科, 助教 (20571558)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Si熱電材料 / 自己組織的ナノ構造化 / 液相焼結 / コンポジット材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
フォノンは散乱するが電子の移動は極力妨げないようなナノ構造をSi母相中に自己組織的に導入することで、高性能なSiベースの熱電材料を合成しようと試みた。Siにp型ドーパントとしてBを加え、さらにCoを5%混合した試料を液体急冷法で急冷凝固させることで、Si中に100 nm以下のサイズのCoSi2が均一に分散したような組織を得ることができた。この急冷試料を放電プラズマ焼結法で焼結し、熱電性能を評価したところ、Coを加えない試料に比べて電気的特性はほぼ同じであるにも関わらず熱伝導率は10%以上低減しており、結果的に熱電性能指数も10%以上向上させることに成功した。 次に、結晶粒界だけでなく欠陥もフォノンを散乱して熱伝導率を低減させることができるであろうと予想し、Siにn型ドーパントとしてPを加え、Coを5%混合して液体急冷法で急冷凝固させた試料を液相焼結することで欠陥を導入しようと試みた。CoSi2とSiは共晶系であるため、放電プラズマ焼結による焼結の際の温度を適切に選ぶことで試料の一部のみを溶融させることが可能である。そのようにして焼結した試料の組織を透過型電子顕微鏡を用いて観察したところ、液相焼結した試料では欠陥が密に生成していることが確認できた。一方で通常の焼結で作製した試料内には密な欠陥は確認できなかったことから、液相焼結は確かに欠陥の導入に有効であることが確かめられた。熱電性能を評価したところ、液相焼結した試料は通常の方法で焼結した試料に比べて、熱伝導率が大幅に低減する一方で電気的特性はほぼ同程度であったため、熱電性能指数は大きく向上した。 本研究では、試料中に欠陥を意図的に導入することで熱電性能を向上させた。このような方法はこれまでに報告例がない。今後は、この手法を他の材料系へ応用することを試みる予定である。
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Research Products
(6 results)