2015 Fiscal Year Research-status Report
両イオン伝導体を用いた高効率メタン発電用固体酸化物形燃料電池の開発
Project/Area Number |
15K18239
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
島田 寛之 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 無機機能材料研究部門, 研究員 (60738285)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 両イオン伝導体 / プロトン / 酸化物イオン / 輸率 / 固体酸化物形燃料電池 / SOFC / 熱膨張 / 共焼結 |
Outline of Annual Research Achievements |
高伝導率両イオン伝導体として、Ba(ZrCeYYb)O3(BZCYYb)についての材料基礎物性評価およびBZCYYbを電解質とした固体酸化物形燃料電池(SOFC)の試作・評価を行った。現在のSOFCはNiとセラミックスのサーメットを燃料極兼支持体とした燃料極支持型が主流となっており、電解質材料と燃料極支持体を高温共焼結することによりSOFCを製造する。その際に懸念されるのが、燃料極中のNiが電解質に拡散することによる電解質材料物性への影響である。そこで、BZCYYb単体材料とBZCYYbに2wt%NiOを固溶させた材料(BZCYYbNi)について材料評価を行った。伝導率としては、両材料とも当初目標値(0.02S/cm、700℃時)を超える0.025S/cm(700℃)を示したが、熱膨張挙動とイオン輸率に大きな差異が表れた。BZCYYbの熱膨張挙動として700℃付近で結晶構造中のプロトン量の変化に伴うと考えられる体積変化が観測されたが、BZCYYbNiは温度変化に対しほぼ直線的な熱膨張挙動を示した。また、イオン輸率に関しては、BZCYYbが700℃以上の高温領域においても90%以上を維持したのに対し、BZCYYbNiでは70%程度と低下した。この結果は、Niが固溶することにより、材料中のプロトン量が減少したことと電子(ホール)伝導性が発生したことによると考えられる。また、BZCYYbを電解質とした燃料極支持型平板SOFCのイオン輸率は、BZCYYbが有するイオン輸率(90%以上)よりも低い85%であり、明らかに共焼結時に燃料極からNiがBZCYYbに固溶した影響が表れていた。本研究では、両イオン伝導SOFCを実現する候補材料を見出したとともに、SOFC製造プロセス起因の課題も明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定どおり、高伝導率を有する両イオン伝導体材料を見出すことができた。また、固体酸化物形燃料電池の試作にも成功し、一定の性能を得ると同時に課題を抽出することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
BZCYYb系電解質について、イオン伝導率を酸化物とプロトンに分離し、伝導率と輸率に関するより詳細な検討を行う。また燃料極支持型SOFCの製造プロセスの最適化を行い、Ni固溶量の制御を図る。
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Causes of Carryover |
研究推進中に優先順位のより高い課題が抽出されたことから、当初H27年度購入を予定していたマスフローコントローラー等物品の購入を次年度に繰り延べたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り延べた物品を購入する。
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