2016 Fiscal Year Research-status Report
光透過性導電モノリス多孔体を基盤とした無機薄膜太陽電池の開発
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15K18242
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Research Institution | Osaka Municipal Technical Research Institute |
Principal Investigator |
御田村 紘志 地方独立行政法人大阪市立工業研究所, 電子材料研究部, 研究員 (90437054)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 光透過性導電モノリス / 金属酸化物半導体 / 電解析出 / 無機薄膜太陽電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、まず昨年度作製したITOモノリスの詳細な構造評価を行った。X線回折によるITOモノリス内の結晶子のサイズ(約15 nm)は、原料となるITOナノ粒子のTEM観察から求めた平均粒径(20-25 nm)に近い値であったことから、ナノ粒子が焼結された構造であることがわかった。また、熱重量分析から求めた当該モノリスの空孔率は75%程度と高い空孔率を有していた。 さらに、このITOモノリス細孔内に酸化亜鉛(ZnO)を電解析出(電析)によって担持し、ZnOの析出形態をSEMなどで確認した。平板ITO電極上にZnOの微結晶連続膜を作製する既知の条件(電流密度、電解液組成、温度など)を足掛かりとして、ITOモノリス電極上にZnOを電析したところ、1μm程度の大きなZnO結晶子が観察され、ZnO層にピンホールが生じた。これはITOモノリスの有効表面積が平板電極に比べ100倍ほど大きいために実効的な電流密度が小さくなり、モノリス上でのZnOの結晶核生成が起こりにくくなったためと思われる。現状では、電析だけではZnO結晶核をITO上に高密度に析出させることは難しかったため、電析以外の方法でITOモノリス上にZnO結晶核を均一に導入する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
モノリス電極のような複雑な形状の基板へのZnO電析は、平板電極の電析とは異なり、ピンホールの形成が思いのほか顕著であった。続くp型半導体の亜酸化銅(Cu2O)の電析にも同様なことが起こりうるため、電析条件の最適化に想定以上の時間を割く必要があった。
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Strategy for Future Research Activity |
金属酸化物の電析の前に、結晶核をITOモノリス上に導入する。たとえば酢酸亜鉛のアルコール溶液を浸漬・乾燥し、熱処理することで微結晶をITOモノリス上に導入する。また、TiO2のようなホールブロック層を電解析出で薄くITO上に析出することも有効と思われる。この後、Cu2Oの電析および太陽電池としての特性評価を行う。
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Causes of Carryover |
試薬等の研究費を必要に応じて執行したため予定額と異なった。全体的な研究計画に変更はない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に生じた差額は平成29年度には物品(試薬などの消耗品を含む)に充てる予定である。
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