2015 Fiscal Year Research-status Report
無容器凝固プロセスを用いた鉄系非晶質材料の組織制御指針の構築
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15K18244
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉年 規治 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (60586494)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 単分散粒子 / 鉄系金属ガラス / 軟磁性材料 / ナノ結晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度にあたる平成27年度は、核発生要因を抑制した条件下で、単分散粒子の大量合成が可能なドロップチューブ法(パルス圧力付加オリフィス噴射法)を採用し、種々鉄系合金(金属ガラス合金(Fe-Co-Si-B-Nb)、ヘテロアモルファス合金(Fe-Si-B-P)、ナノ結晶合金(Fe-Si-B-P-Cu))の急冷凝固粒子の作製可能なプロセス条件を明らかにした。特に、金属ガラス合金(Fe-Co-Si-B-Nb)およびヘテロアモルファス合金(Fe-Si-B-P)については冷却速度の影響を調査するため、異なる液滴粒径(100~800 µm)の単分散粒子を異なるガス種(Ar/Heガス)の条件下で作製を行った。複数の条件下で作製した冷却速度の異なる単分散粒子の冷却速度と内部組織の関係性について、構造解析(X線回折法、透過型電子顕微鏡)や各種熱分析装置を用いて詳細に評価した結果、同一組成合金での冷却速度の変化による内部構造の違いについて明らかにすることができた。特にヘテロアモルファス合金(Fe-Si-B-P)の臨界冷却速度が非常に小さく(約550 K/s以下)高いアモルファス形成能を有していることが明らかとなった。さらに、内部構造を推定するために、球形粒子1つを用いた過冷却液体温度域での単粒子圧縮試験を行い、フラジリティの調査を行った。その結果、ヘテロアモルファス合金(Fe-Si-B-P)の最小到達粘性係数は金属ガラス合金(Fe-Co-Si-B-Nb)と比較して約1桁大きな値となり、フラジリティパラメータmの値も小さい値となることが明らかとなった。この結果はヘテロアモルファス合金(Fe-Si-B-P)が多数のクラスターを内包していることを意味しているものと推定される。この構造が磁気特性に与える影響については次年度以降に詳細に評価していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の早期に金属ガラス合金(Fe-Co-Si-B-Nb)、ヘテロアモルファス合金(Fe-Si-B-P)、ナノ結晶合金(Fe-Si-B-P-Cu)の作製に成功しており、その組織変化等の分析に取り掛かることができているため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に作製した試料について詳細な分析および磁気特性評価を行う。また、Cu添加量が及ぼす組織および磁気特性への影響を調査する。 ルツボ等の必要治具の最適材質を早期に見つけることができたため、Cuの添加量を細かく変化させた影響調査に研究費および時間を費やす予定にしている。
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Causes of Carryover |
ルツボ等の必要治具の最適材質を早期に見つけることができたため,消耗品の購入を抑えることができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
Cuの添加量をより細かく変化させ、ナノ組織および特性に与える影響をより詳細に調査する予定にしている。
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