2015 Fiscal Year Research-status Report
高圧ガスミリング法による高強度・高延性チタン材料の創製と変形挙動の解明
Project/Area Number |
15K18248
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
太田 美絵 立命館大学, 理工学部, 助教 (30710587)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 粉末冶金 / 超強加工 / 調和組織制御 / 強度延性バランス / チタンおよびチタン合金 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、純チタンおよびチタン合金に対して粉末強加工プロセスを適用し、高強度と高延性を同時に満足するための最適組織制御法ならびにその変形挙動を明らかにすることを目的としている。金属材料に求められる諸特性の中で最も基本的かつ重要である、高強度と高延性を同時に満足できる手段として、粉末強加工プロセスによる「調和組織制御材料」が注目されている。これまでの調和組織材料研究では粉末粒子径150~181ミクロン以上の粗大粉末粒子を使った検討がほとんどであるが、実用化のためには粒子径50ミクロンよりも小さな微小粉末粒子を用いる必要がある。しかし、従来の粉末強加工プロセスを微小粉末粒子に適用した場合、粉末凝集や不純物混入の可能性があり、新たなプロセスの開発が必要である。平成27年度は、加工媒体と非接触の高圧ガスを用いた調和組織制御法を新たに開発してこれらの問題の解決に取り組み、以下の成果を得た。 1.平均粒子径28ミクロンの純チタン微小粉末において、高強度・高延性を両立する加工条件、創製プロセスを確立した。 2.従来法であるボールミル法と比較して、高圧ガスミリング法による調和組織制御は強度・延性バランスがより向上することが明らかとなった。 3.また、ボールミル法を高圧ガスミリング法に置き換えることで、加工時間は50分の1に短縮し、加工効率が飛躍的に向上した。 4.加えて、高価なアルゴンガスからより廉価な窒素ガスへの加工媒体の置換に成功した。これにより調和組織制御法の実用化が大きく前進することが期待される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の課題は、高圧ガスミリング法を用いた調和組織制御材料の創製方法の確立および組織形成メカニズムの解明である。上記研究業績の概要に述べたとおり、平成27年度中に、創製プロセスの確立ならびに強度延性バランスの向上を確認し、これらの研究成果を国内外の学会で発表した。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の検討結果を元に、チタン系調和組織材料が高強度・高延性を同時に発現するメカニズムを解明する。また、調和組織制御材料は加工硬化能が高く、均一伸びに優れていることが明らかとなっている。未加工粉末を焼結した均一組織材料との変形挙動の比較、ならびに相構成、結晶粒径勾配などの組織因子からの詳細な検討を行い、優れた力学特性を示すメカニズムを解明する。ひずみ速度依存性、温度依存性に着目した機械的性質の評価を行う。さらに、変形・破壊挙動解析とそのメカニズムについて、有限要素法解析、画像相関法、破壊挙動を解析できるFRASTA法等を用いた詳細な解析を行う。
|