2015 Fiscal Year Research-status Report
メタノール選択分離用ゼオライト膜の透過分離特性および吸着特性の定量的理解
Project/Area Number |
15K18259
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
瀬下 雅博 早稲田大学, 理工学術院, 助教 (50708584)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | zeolite membrane / MFI / permeation property |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、Si/Alの異なるMFI膜の合成に注力した。膜合成条件(合成ゲル組成、合成温度、合成時間)を詳細に検討することにより、Low-silica ZSM-5(Si/Al = 18)、High-silica ZSM-5(Si/Al = 180~400)およびSilicalite-1(Si/Al = ∞)の膜を水熱合成法により合成することができた。得られたそれぞれの膜について、緻密性を評価する目的でMFI細孔を透過することのできるn-hexane(n-Hex)と透過することのできない2,2-dimethylbutane(DMB)の透過分離特性を評価した結果、いずれの膜もDMBの透過率が低く、非ゼオライト細孔に由来する欠陥の少ない膜であることが示された。また、これらの膜を用いてメタノール/二酸化炭素の二成分混合系における透過分離特性の評価を行った。Na型のZSM-5膜を用いたメタノール/二酸化炭素分離では、メタノールがNa-ZSM-5膜に吸着することにより選択的に透過する。ユニットセルあたりのNaカチオン量が0.24~0.53のHigh-Silica ZSM-5膜はNaカチオンを有していないSilicalite-1膜と同程度の透過分離性能を示し、High-Silica ZSM-5膜に対するメタノールの吸着量は二酸化炭素の透過を阻害するのに十分ではないということが推察できる。一方でユニットセルあたりのNaカチオン量が5.1のLow-Silica ZSM-5膜では、膜に吸着したメタノールが二酸化炭素の透過を阻害し、メタノールが選択的に透過した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の一つのキーポイントであるSi/Alの異なる緻密な3種類のMFI膜を合成することに成功し、順調に進展している。また得られた膜の透過分離性能の評価を開始した。一方で、当初Si/Alの違いは吸着に基づく透過分離性能に影響するのだと考えていたが、分子ふるい作用に基づく分離においても影響する可能性があることが透過分離試験からわかってきた。膜構造評価も含めて、今後検討していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた種々のSi/Alの異なるMFI膜の透過分離特性評価および吸着特性評価に重点を置いて研究を進めていく。また、それと並行して、H27年度の検討にて合成することのできなかったSi/Alが30~50のMiddle-Silica MFI膜の合成条件を確立することを目指す。
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Causes of Carryover |
当初の計画よりも早くSi/Alの異なるMFI膜が合成できたので、膜合成に必要な合成試薬や消耗品費分を繰越することになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初、Si/Alの違いは吸着に基づく分離に影響すると考えていたが、今年度の検討において分子ふるい作用に基づく分離に対しても影響してくる可能性が示された。予定していた吸着に基づく分離系以外にも透過分離特性評価を行う必要がでてきたので、それらの試験に必要な物品(試験装置、試薬、消耗品など)の購入費に充てる。
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Research Products
(3 results)