2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K18261
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
原 伸生 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 化学プロセス研究部門, 主任研究員 (70613545)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 気体分離膜 / MOF膜 / 反応分離膜 / 反応分離MOF膜 / 金属有機構造体 / MOF |
Outline of Annual Research Achievements |
反応と分離の両プロセスを一体化した反応分離プロセスは、化学プロセスの省エネルギー化とコンパクト化に向けて有効である。特に触媒を担持した触媒膜を用いる場合には、物質変換および生成物質の分離を同時に行うことができ、従来の固体触媒充填型の反応器と比較して触媒使用量も低減できる。本研究では、金属有機構造体(MOF)の規則細孔中に脱水素能を持つ金属ナノ粒子触媒を固定化した反応分離MOF膜の開発を目的としている。 反応分離MOF膜の開発においては最初に、多孔質支持体の表層近傍において、気体分離層として例えばZIF-8の緻密層を形成する手法の開発を行う。次に、気体分離層の外側に、触媒MOF層を形成する手法の開発を行う。気体分離MOF層の厚みおよび触媒MOF層の構造を制御する手法を開発し、反応分離MOF膜の選択透過特性との関係の解明を目指している。 平成27年度においては、反応分離MOF膜の開発に向けて、多孔質支持体の表層近傍においてZIF-8の緻密層を形成する手法の検討を行った。反応分離MOF膜には、水素等の高い透過率が必要とされるが、これを達成するためには緻密層の厚さを極めて薄くすることが不可欠である。本年度は、多孔質支持体の表面近傍に形成する気体分離層の緻密層の厚さの低減を目的として、反応条件の検討に取り組んだ。得られた緻密層の構造評価を行い、緻密層の厚さを低減するために必要な条件の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度においては、反応分離MOF膜の開発に向けて、多孔質支持体の表層近傍において、気体分離層としてZIF-8の緻密層を形成する手法の検討を行った。反応分離MOF膜には、水素等の高い透過率が必要とされるため、これを達成するためには気体分離層の厚さを極めて薄くする必要がある。このため、本年度は、反応分離MOF膜の気体分離層の厚さを低減に取り組んだ。 反応分離MOF膜の形成においては、多孔質支持体の表面近傍に緻密層を形成するための反応条件の検討を行った。ZIF-8の緻密層を形成する反応条件として、反応溶液中の金属塩(硝酸亜鉛)と有機配位子(2-メチルイミダゾール)の濃度および濃度比を変えて、検討を行った。得られた緻密層の構造評価を行い、緻密層の厚さを低減するために必要な条件の検討を行った。この結果、反応溶液中の金属塩に対する有機配位子の濃度比が高い条件においては、不均一核発生によって溶液中におけるZIF-8の生成が優勢となり、多孔質支持体上においてはZIF-8の結晶は形成されなかった。一方、反応溶液中の金属塩に対する有機配位子の濃度比が低い条件においては、ZIF-8の不均一核発生が抑制され、多孔質支持体上におけるZIF-8の結晶形成が確認された。形成されたZIF-8の結晶径は2-5ミクロン程度であった。 以上より、反応分離MOF膜の開発は当初の計画に沿っておおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度においては、反応分離MOF膜の開発に向けて、多孔質支持体の表面近傍において、気体分離層であるZIF-8の緻密層の形成に引き続き取り組む。緻密層には、薄層であることおよび、結晶間の欠陥が無いことが要求されることから、これらの条件を満たす緻密層を形成するための条件の探索を行う。そして、緻密層の構造解析および気体透過特性の解析を行い、気体分離層の性能向上を目指す。さらに、気体分離層の外側に、触媒MOF層を形成する手法の開発を行う。気体分離MOF層の厚みおよび触媒MOF層の構造を制御する手法を開発し、反応分離MOF膜の選択透過特性との関係の解明を目指す。
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Causes of Carryover |
平成27年度においては、分離膜の気体透過率の測定に用いる測定ガスの購入費用を計上した。しかし、研究の進捗状況に基づいて当予算による測定ガスの購入を平成28年度に延期したため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は、測定ガスの購入費用として、平成28年度に使用予定である。
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Research Products
(13 results)