2015 Fiscal Year Research-status Report
遷移金属の酸化還元挙動を利用した多段階排ガス浄化システムの研究
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15K18268
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
芳田 嘉志 京都大学, 実験と理論計算科学のインタープレイによる触媒・電池の元素戦略研究拠点ユニット, 特定助教 (40722426)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 遷移金属触媒 / 自動車排ガス浄化触媒 / 貴金属代替 / タンデム構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
異なる担持率のCu/Al2O3を調製し,NO-C3H6-O2反応に対する触媒活性を検討したところ,担持率の増加に伴いC3H6およびNOの転化率が向上した。本触媒におけるZn添加効果(複合化・合金化)による顕著な活性向上は見られなかった。NO-C3H6-O2反応におけるO2濃度を変化させたところ,リーン条件(O2過剰)では350℃以上においてC3H6の完全酸化が進行しNO転化率が低下した。いっぽうストイキ条件では定常状態において活性が向上する現象が見られ,XPS測定の結果Cu+の割合が増加することが原因であると結論した。 Pd/CeO2触媒層の前段をCr-Cu/CeO2に置き換えてタンデム構造による NO-CO-C3H6-O2反応を行ったところ,Pd/CeO2単独に比べてより低温でlight-offしたことから,本構造は貴金属使用量節減と浄化性能向上の両方に寄与することが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
種々の担持Cu触媒を用いてNO-CO-C3H6-O2反応に対する触媒活性を検討し,Al2O3担体が最も適していること,またZnとの合金化による顕著な活性向上は見られないことを確認した。また素反応結果からCu/Al2O3のNO還元挙動はNO-C3H6-O2反応に依存することがわかった。反応中のCuの電子状態をXPSおよびAugerにより解析したところ,O2過剰雰囲気ではCu2+であるのに対してストイキ条件ではCu+に部分還元されており,またそれに伴いNO還元活性が向上することを見出した。 前段Cr-Cu/CeO2, 後段Pd/CeO2のタンデム触媒を用いてNO-CO-C3H6-O2反応に対する有用性を検討し,前段にCO除去触媒を配置することで三成分の浄化活性が向上することを確認した。なお前後を逆転させた場合や物理混合した場合には本効果が発現されなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
Cu/Al2O3を用いたNO-C3H6-O2反応においてCu+種がNO還元に対して重要であることが示唆されたが,リーン条件ではCu2+に再酸化されるためにNO還元活性は失われる。そこでリーンNOx活性を有するCu触媒の開発を目的として,第二金属の添加や新規複合酸化物の調製により難酸化性Cu+の安定性向上を目指す。これにより汎用元素のみで構成されるリーンNOx触媒を調製し,本触媒を後段に配置したタンデム構造型触媒システムの排ガス浄化性能を評価する。またFTIRやXAFSにおける本触媒システムのその場観察を行い,各反応温度,O2濃度雰囲気における反応ガスの吸着挙動やCu酸化状態変化から本触媒システムにおける反応メカニズムを明らかにする。
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Causes of Carryover |
現有する分析装置の故障により年度内での測定実験が困難となったことから,関連する消耗品の購入を取りやめたために残額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該分析装置が復旧したので当初の研究計画に基づいて研究を遂行するため,測定実験に必要な消耗品を購入する。
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