2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K18269
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
田中 淳皓 立命館大学, 生命科学部, 助教 (50748390)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 光触媒 / 金属ナノ粒子 / 太陽エネルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,太陽光エネルギーを最大限に利用した光触媒材料の構築のために,金(Au)に対して銀(Ag)や銅(Cu)を複合化し,表面プラズモン共鳴(SPR)誘起型光触媒の波長適応範囲を幅広くすることを目的としている.報告者はこれまでに,AuのSPR誘起型光触媒を用いた様々な化学反応を積極的に検討してきた.種々の化学反応への応用,それぞれの化学反応に適応した材料の創出を報告してきた.交付申請書の「研究実施計画」には「Auと異種金属合金ナノ粒子(Ag,Cなど)の固定化方法および様々な金属酸化物半導体への固定化方法を開拓する」と記載した.固定化方法の一例として光析出法を用いて,複合化を行った. <具体的内容> Auをコア,AgやCuをシェルとしたコア-シェルナノ粒子を酸化スズ(SnO2)上に担持し,波長制御できることに成功した.この結果を論文として,Chemistry-A European Journalに掲載された.この報告では,Au粒子が550nm付近に吸収を示すのに対し,AgやCuをシェルとすることで450nm,620nmと吸収波長を変化させることができた.また,それぞれの作用スペクトル(アクションスペクトル)を測定したところ,それぞれのスペクトルが吸収スペクトルと一致した. <意義・重要性> 以上の結果より,Auに異種元素を導入することで波長を制御できることを示した.作製方法を工夫することでコア-シェル型粒子の吸収・駆動波長変化の知見を得ることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
太陽光の有効利用を目的として,幅広い波長で駆動できるSPR誘起型光触媒の作製を検討した.その結果,AuとAgやCuを複合化することで波長を自在に変化させ,駆動させることに成功した.また,この触媒を用いた水中有機酸の無機化反応や芳香族アルコールの選択酸化反応に成功し,Chemistry-A European Journalに掲載された.
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Strategy for Future Research Activity |
申請書に記載したように,作製方法の検討を行い,金属の複合方法の違いについて検討する.昨年度はコア-シェル型粒子について検討したので,2つの金属が混ざった粒子についても検討を行う.さらに,Au以外の金属を用いた,SPR誘起型光触媒の例は少なく,AgやCu粒子を単独で用いた光触媒についても検討を行う.加えて,これらの粒子の電子状態の解析についても,X線回折(XRD),X線光電子分光(XPS)およびX線吸収微細構造(XAFS)を用いて行う.
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