2015 Fiscal Year Research-status Report
排熱回収を指向した低温でのエタノール水蒸気改質による高効率水素製造
Project/Area Number |
15K18272
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小河 脩平 早稲田大学, 理工学術院, 助教 (40707915)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 資源・エネルギー有効利用技術 / 水素製造 / エタノール水蒸気改質 / 低温触媒反応 / バイオマス |
Outline of Annual Research Achievements |
エタノール水蒸気改質による水素製造を低温で進めうる触媒プロセスを開発することを目的に,高い活性・選択性・安定性を有する低温作動型触媒の検討を行った.反応装置には固定床流通式反応器を用い,整粒した触媒とSiC(希釈剤)を層高が10 mm程度になるように充填した.触媒として573K以下でエタノール脱水素に活性を示すことを見出しているストロンチウムアパタイト(Sr10(PO4)6(OH)2:以下Sr-P)担体にCo,Pt,Rhをそれぞれ担持して用いた.S/C=5のエタノール水溶液を気化した後にキャリアガスと混合して反応器に供給し,反応温度723-823 K,常圧でエタノール水蒸気改質を行った.生成物はGC-FIDならびにGC-TCDで定性・定量を行った.炭素析出量は酸素雰囲気下でのTPO(昇温酸化)で測定した.5 wt%のCoを担持したSr-P触媒は,823Kにおいて比較的性能の良い5wt%Co/Al2O3触媒と比べて,活性・選択性は同程度であったものの,炭素析出を数十分の一程度まで抑制できることを見出した. また反応温度を低温化するための手法として,触媒層に電場を印加した電場触媒反応(Electreforming)の適用も検討した.反応を電気的にアシストすることにより,ギブスエネルギーを底上げすることで未利用排熱が回収可能な573K以下の低温で活性を発現することを目指した.固定床流通式反応器に電場を印加しうるPt/CeO2触媒200 mgを充填し,その上下に電極を設置して直流電流を流すことで電場を印加した.電場の印加により,423 Kという従来の触媒反応では全く反応が進行しない低温においても活性が発現し,水素が高い収率および選択率で生成した.電場触媒反応の適用により大幅な低温化を達成した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画において目的の一つに挙げた低温での活性発現を達成し,低温で良い性能を示す触媒材料もいくつか見つかっている.また種々のキャラクタリゼーションや各種因子の反応への影響の検討においても,次年度以降の計画に資する予備的な知見が得られている.以上のことから研究はおおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
触媒の微細構造や電子状態が反応にどのような影響を与えるかを検討するため,H2-TPRやXAFS(SPring-8)測定などを行う.D2Oなどの同位体を用いて速度論的同位体効果について検討を行うとともに,反応場のその場観察(In-situ DRIFT)も行うことで,詳細なメカニズムの解明に取り組む.
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Causes of Carryover |
当初,水熱合成用オートクレーブを購入予定であったが,仕様決定に時間がかかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度,水熱合成用オートクレーブおよび消耗品の購入に使用予定である。
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Research Products
(11 results)