2015 Fiscal Year Research-status Report
DNAメチル化反応を触媒するリボザイムの同定と領域特異的メチル化方法の開発
Project/Area Number |
15K18278
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
吉田 亘 東京工科大学, 応用生物学部, 助教 (10599806)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | DNAメチル化 / リボザイム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はDNAメチル化反応を触媒する機能性RNAであるリボザイムを同定し、それを用いてヒトゲノム中の標的領域を特異的にメチル化するRNAを作製することを目的としている。リボザイムとは特定の化学反応を触媒するRNAであり、ランダムRNAライブラリーから同定することが可能である。そこで、DNAメチル化反応を触媒するリボザイムを同定し、そのリボザイムに標的ゲノム領域に結合するRNAを連結させれば、領域特異的にメチル化できるRNAを作製できると考えた。本年度はメチル化反応を触媒するリボザイムを同定するスクリーニング方法を開発することを目的とした。 生体内ではDNAメチル化反応はDNAメチル化酵素によって触媒されており、そのメチル基のドナーはS-アデノシルメチオニン(SAM)であることが知られている。一方、SAMに結合するRNAが既に同定されていることから、このRNAのSAM結合領域以外をランダム化したライブラリーを用いれば、DNAメチル化反応を触媒するリボザイムを同定できると考えた。そこで、in vitro transcription法によりSAM結合領域以外をランダム化したライブラリーを合成し、メチル化の標的となるCG配列を含む二本鎖DNAをランダムRNAライブラリーに連結したライブラリーを作製した。メチル化反応を触媒するRNAは連結した二本鎖DNAのCG配列をメチル化するため、メチル化感受性制限酵素を用いれば、メチル化反応を触媒したRNAのみ回収できると考えた。実際にメチル化酵素を用いてRNA-DNAキメラライブラリーをメチル化し、メチル化感受性制限酵素で切断することにより、切断されたライブラリーのみ回収できることが示された。今後は本スクリーニング方法を用いてメチル化反応を触媒するリボザイムを同定する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
27年度はメチル化反応を触媒するリボザイムを同定するスクリーニング方法を開発することを目的とした。生体内ではDNAメチル化反応はDNAメチル化酵素によって触媒されており、そのメチル基のドナーはS-アデノシルメチオニン(SAM)であることが知られている。一方、SAMに結合するRNAが既に同定されていることから、このRNAのSAM結合領域以外をランダム化したライブラリーを用いれば、DNAメチル化反応を触媒するリボザイムを同定できると考えた。そこで、T7プロモーター配列とランダム配列を含む二本鎖DNAを合成し、それを鋳型にin vitro transcription法によりSAM結合領域以外をランダム化したRNAライブラリーを合成した。次に、5’端にリン酸基を3’端にビオチンを修飾したCG配列を二本鎖部位に含むステムループDNAを化学合成した。このステムループDNAとRNAライブラリーをT4 RNAリガーゼによってライゲーションし、DNA-RNAキメラライブラリーを合成した。自己メチル化反応を触媒するRNAを回収する方法としては標的配列がメチル化されている場合のみ標的DNAを切断するMspJ Iを用いることを予定していた。そこでMspJ Iを用いてメチル化したDNA-RNAキメラライブラリーが切断できるか検討した。しかし、MspJ Iではメチル化したDNA-RNAキメラライブラリーを切断することが出来なかったため研究の進捗に遅れがでた。しかし、標的配列が非メチル化の場合のみ切断するHap IIを用いて、DNA-RNAキメラライブラリーを切断できるか検討した結果、メチル化ライブラリーはHap IIによって切断されないのに対し、非メチル化ライブラリーは切断されることが示された。つまり、Hap IIを用いれば、自己メチル化反応を触媒したRNAライブラリーのみ回収できることが示された。
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Strategy for Future Research Activity |
Hap IIを用いてDNA-RNAライブラリーを切断すれば、自己メチル化反応を触媒したRNAのみ回収することができることが示されたので、本手法を用いてメチル化反応を触媒するリボザイムを探索する。また標的ゲノム領域に結合するRNAプローブをリボザイムに連結させ、標的ゲノム領域と結合した場合のみ、リボザイムがメチル化反応を触媒するRNA分子を開発する。
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Causes of Carryover |
当初の計画ではリボザイムをスクリーニングする際に標的DNAがメチル化されていると切断する制限酵素MspJ Iを使用する予定だったが、実際にはMspJ Iではメチル化DNA-RNAキメラライブラリーは切断することができなかった。そのため、他のスクリーニング方法を検討する必要があったため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
MspJ IではなくHap IIを用いれば自己メチル化反応を触媒したRNAを回収できることが示されたので、新しいスクリーニング方法を用いてメチル化反応を触媒するリボザイムを同定する。なお、28年度の直接経費としては、物品費1,063,239円、旅費290,000円、その他75,000円を予定している。
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