2015 Fiscal Year Research-status Report
レーザー核融合推進のための磁気ノズルにおけるプラズマ・磁場の挙動解析と最適化
Project/Area Number |
15K18283
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
森田 太智 九州大学, 総合理工学研究科(研究院), 助教 (30726401)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | レーザー核融合推進 / 高出力レーザー / 磁気スラストチャンバー / レーザートムソン散乱 / イオンバックライト計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、将来の推進システムの有力候補のひとつであるレーザー核融合ロケットの推進原理として考えられている磁気スラストチャンバーについて、その動作原理とエネルギースケーリング則を構築するため、(1)プラズマの膨張とともに変化する磁場を可視化し、(2)プラズマの温度・密度・速度等のパラメータを局所的に計測することである。当該年度は、大阪大学のEUVデータベースレーザーを用いて、上記2通りの計測を試みた。 (1)の磁場計測については、イオンエンジンが出力するXe+イオンの計測のため、アレイ状に配置したチャージコレクタとその計測システムを構築した。また、イオンエンジンからのイオンのみを検出するため、初期の時間に計測器に到達するレーザー生成プラズマをチャージコレクタに印加する電圧で排除し、パルス状に電圧を印加するシステムを構築した。これらは九州大学で予備実験を行った後、大阪大学で実験を行ったが、本実験時に電圧印加のシステムの不具合により計測までは至らなかった。 (2)については、新たに高波長分解能の分光器を作成してレーザートムソン散乱計測を行い、局所的なプラズマパラメータの計測に成功した。その結果、磁場をの有無によって、温度・密度に大きな違いは無かったが、プラズマのドリフト速度に明らかな違いを計測した。この結果は、磁気スラストチャンバー内の比較的低密度なプラズマでの計測も可能であることを示すと同時に、磁場によるプラズマの排出が機能していることを示している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたイオンバックライト計測は、計測器の不具合により本実験では計測まで至らなかったが、イオンの検出とパルス状印加電圧による動作を確認することができた。一方レーザートムソン散乱によるプラズマ計測には成功し、流速の変化から、推力発生原理が動作していることを確認できた。またこの結果から、今後はより大型レーザーを用いた実験へについてもレーザートムソン散乱を用いた計測を行うことができる。一方、予想しないほど真空チャンバーや実験装置からの反射光が大きく計測精度が悪いなど課題も見つけることができた。今年度はこれらの計測精度を上げると同時に、より高エネルギーのプラズマを用いた実験を行うことで、エネルギースケーリングの確立と、数値シミュレーションとの比較・検証をすすめることができると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
当該年度の研究から、磁場の計測システムの動作原理の確認と、レーザートムソン散乱計測の構築とその有用性を確認できた。今後は、これら2通りの計測システムを用いて、さらに計測精度を上げる事で、数値シミュレーションによるプラズマ排出原理の確認、シミュレーション自体の検証を行う。さらに、今年度はエネルギーが10-100倍となる照射エネルギーの大型レーザー:激光XII号を用いて、プラズマの運動エネルギーを上げ、昨年度構築した計測システムを用いることで、推進システムである磁気スラストチャンバーのエネルギースケーリング則の確立を試みる。 一方、数値シミュレーションと実験とは現在大きな差異がある。現状は、レーザー生成プラズマを輻射流体計算で、磁場とプラズマの相互作用をハイブリッドシミュレーションで計算しているが、初期のプラズマ生成時に磁場を考慮していないことが原因の1つとして考えられる。つまり、現状の輻射流体シミュレーションでは、磁場と相互作用せずにプラズマが膨張してしまうという欠点があった。今後、大阪大学と共同で、磁場と輻射を考慮した輻射磁気流体シミュレーションを行うことで、再度実験との比較を行う。実験の改良として、レーザーの燃料球内面照射を試みることでプラズマの膨張速度を抑え、数値計算との比較を容易にする工夫を試みる。この手法は、将来のレーザー核融合炉でも検討されている間接照射方式に対応し、実機の設計を考える上でも有利である。
|
-
-
[Journal Article] Plasma structure and energy dependence in a magnetic thrust chamber system2016
Author(s)
T. Morita, N. Yamamoto, R. Kawashima, N. Saito, M. Edamoto, S. Fujioka, Y. Itadani, T. Johzaki, S. Miura, Y. Mori, H. Nishimura, A. Sunahara, A. Yogo, and H. Nakashima
-
Journal Title
Jouranal of Physics: Conference Series
Volume: 未定
Pages: 未定
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
-
[Presentation] 磁気ノズルにおける推力発生の原理実証実験2016
Author(s)
森田太智, 山本直嗣, 齋藤直哉, 川島諒祐, 枝本雅史, 三浦智之, 板谷佑太朗, 砂原淳, 藤岡慎介, 城崎知至, 森芳孝, 余語覚文, 西村博明, 中島秀紀
Organizer
日本物理学会
Place of Presentation
東北学院大学 泉キャンパス
Year and Date
2016-03-22
-
-
[Presentation] 磁気スラストチャンバーにおけるプラズマの振る舞いに関する実験2015
Author(s)
川島諒祐, 山本直嗣, 森田太智, 齋藤直哉, 枝本雅史, 三浦智之, 板谷佑太朗, 中島秀紀, 藤岡慎介, 余語覚文, 松隈啓, 西村博明, 砂原淳, 城崎知至, 森芳孝
Organizer
プラズマ・核融合学会
Place of Presentation
名古屋大学
Year and Date
2015-11-26
-
[Presentation] Model Experiment of a Magnetic Thrust Chamber System for Laser Fusion Rocket2015
Author(s)
1.T. Morita, N. Yamamoto, R. Kawashima, N. Saito, M. Edamoto, S. Fujioka, Y. Itadani, T. Johzaki, S. Miura, Y. Mori, H. Nishimura, A. Sunahara, A. Yogo, and H. Nakashima
Organizer
International Conference on Inertial Fusion Sciences and Applications (IFSA 2015)
Place of Presentation
Seattle, WA, USA
Year and Date
2015-09-22
Int'l Joint Research
-
[Presentation] 大型レーザー生成プラズマを用いた磁気ノズルによる推進システムの模擬実験2015
Author(s)
森田太智, 山本直嗣, 齋藤直哉, 藤岡慎介, 城崎知至, 川島諒祐, 森芳孝, 西村博明, 砂原淳, 余語覚文, 中島秀紀
Organizer
日本物理学会
Place of Presentation
関西大学
Year and Date
2015-09-18