2015 Fiscal Year Research-status Report
非接触アクチュエータを用いた人工衛星ペイロードの空間安定制御
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15K18287
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
巳谷 真司 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 研究員 (00747446)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 姿勢制御 / 空間安定システム |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度では、ステーブルプラットフォーム方式とストラップダウン方式の両方式のトレードオフを実施し、両方を試せる静電容量型非接触変位センサと非接触型ボイスコイルモータ(VCM)を6軸ストラット型に配置した、空間安定装置の設計・試作を完了した。研究初期に想定した中空型VCMと非接触センサを同軸に配置する方式は、VCM推力と可動域、搭載可能質量間の制約条件が厳しく、返ってシステムを大きくしてしまう課題が見えたので、まずはシステムは中実型VCMを用いた非同軸配置方式で構成することとした。検討結果、直径225mm、高さ50mm、全体1kg以下のコンパクトな実験システムを構成することができた。 課題が見えた中空型VCMに関しては、6軸ストラット型実験システムとは独立に、変位センサ-中空型VCM1軸校正装置を試作し、変位センサと中空型VCMを同軸に配置した構成の性能評価を実施することとした。本校正装置を用いて、中空型VCMの推力特性およびVCM同軸に配せられた静電容量型変位センサの計測精度を評価し、中空型VCMと非接触変位センサ同軸一体型の機能性能最適化を図る予定である。 研究初年度の成果は、日本航空宇宙学会主催第60回宇宙科学技術連合講演会(2016年9月)に発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
空間安定制御方式として、ステーブルプラットフォーム(SP)方式とストラップダウン(SD)方式の2方式のトレードオフを実施した。SD方式は、ペイロード側にセンサが不要で完全非接触なシステムが構築可能であり、こちらが本研究の主眼であるが、絶縁性能はSP方式の方が優れている。そこで、実験システムとしては両方試せるように慣性センサ(加速度計)をベース側・ペイロード側の両方に取り付け可能なようにシステムを設計した。 VCMのコイルとヨーク間の間隙を大きくすると指向ペイロードプラットフォームの可動変位域が広くなるが、推力が間隙の3乗で低下する。そのため、ペイロード荷重に対する可動変位制限が発生する。VCMヨーク側が6自由度変位した際に、ヨークとコイルが接触してはならない要求を、ヨーク側を6自由度変位させた際のヨーク(コイル)縁断面を評価し、可動変位制限値を算出する手法を考案した。検討結果、間隙0.5mmの場合、並進1mm、回転0.5degとなった。回転変位は目標とした1deg程度より足りないが、今後VCM推力を実測し、最適化を図っていくことによって可動域を広げることは可能である。直径225mm、高さ50mm、全体1kg以下のコンパクトな実験システムを構成することができた。 また、プローブをVCMの同軸に配置可能な、中空型VCMの設計を検討した。VCMを貫通させるようにヨークを中空型とすると、磁束密度が減り推力を大きく減じるため、VCM中実で、非接触センサを非同軸に配置する構成を実験機のベースラインとすることとした。ただし、中空タイプのVCMに関しては、変位センサも含めた形状最適化が見込めるため、6軸実験システムとは独立に変位センサ-VCM1軸校正装置を試作した。本装置は、変位センサとVCMを同軸に配置した構成の性能評価することが可能であり、中空タイプVCMの推力特性およびVCM同軸に配せられた静電容量型変位センサの計測精度を評価する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初目的の実験システムを構築することができたので、このシステムを用いて今後、制御特性を評価する計画である。特にVCM推力周波数特性を把握することが必要であり、その結果によりどの程度の帯域までの擾乱が低減できるかが決まる。初年度で購入した小型加振器を用いて制振実験を行い、評価する予定である。最後に、人工衛星実機に搭載するための課題を整理し、研究成果を日本航空宇宙学会誌等の学術誌に投稿予定である。
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Causes of Carryover |
実験システムは計画通り構築できたが、VCM形状やシステム全体の最適化に課題が残っており、次年度に実験システムを改修する可能性を残すため、一部使用金額を繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
6軸実験システムの改修に使用予定である。
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