2015 Fiscal Year Research-status Report
飛行モードのオンライン推定を利用した有人および無人航空機の間隔確保システム
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15K18289
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
横山 信宏 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, システム工学群, 准教授 (10425788)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 推定アルゴリズム / 実時間最適化 / モデル予測制御 / 航空機 / 間隔確保 |
Outline of Annual Research Achievements |
複数の有人航空機およびUAS(Unmanned Aerial Vehicle)を同一空域で安全に運用するための基礎技術として,時々刻々における各機の飛行モード(ウェイポイントへの移動,定点周りの旋回,他機回避等)を実時間で推定するアルゴリズムの開発を行った.パイロットやオペレータの有無に関わらず,一般に,航空機の操縦のいかなるフェーズにおいても,何らかの目的に基づく合理的な制御が行われている.そこで,開発したアルゴリズムでは,過去の飛行軌道(状態変数や制御入力の履歴)が,何らかの目的関数に基づく準最適な制御則によって得られたものと仮定し,最適制御の逆問題,すなわち,得られた飛行軌道から目的関数の重み係数および制約条件のLagrange乗数(重み係数に相当)を逆算する問題として,飛行モードの推定問題を定式化した.また,数値シミュレーション結果を通じて,開発したアルゴリズムによって実時間で妥当な推定結果が得られることを確認した. 本研究課題では,上記の飛行モード推定アルゴリズムと併用して,機体間の間隔確保を考慮した経路生成を行うアルゴリズムの開発も計画している.そのための基礎的なアルゴリズムとして,多項式で記述された非線形動的システムに対する実時間最適制御(モデル予測制御)アルゴリズムを開発した.このアルゴリズムのオフライン計算部分は,閉ループ系の安定性,評価関数の上限値,オンライン計算の可解性を予め保証できるという特徴を有し,また,オンライン計算部分は高速計算が可能である.保守性の低減や複雑な問題への適用可能性検討などの課題があるものの,簡易的な数値シミュレーションにより,このアルゴリズムによって良好な結果が得られることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実時間最適化アルゴリズムの開発の進捗については概ね計画通りであるが,飛行モード推定アルゴリズムの開発については,当初の計画から方針を一部変更したことに伴い,やや遅れている. 当初は飛行モードを不確かな制御則の集合で表現することを検討していたが,最適制御問題における目的関数や制約条件の重みとして表現する方が,アドホックな要素が大幅に低減されると考え,この方針に変更した.これにより,良好な推定結果を得ることができるようになったが,当初予定していたハイブリッドシステム(離散変数と連続変数の両方で記述される動的システム)としての航空機ダイナミクスの表現についても,大幅な見直しが必要となったため,現状のアルゴリズムではよりシンプルな連続変数のみによる表現を採用している.ハイブリッドシステム表現によるアルゴリズムも検討中であるが,未完成である.
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Strategy for Future Research Activity |
飛行モード推定アルゴリズムと,それを利用して間隔確保を行うことが可能な実時間最適経路生成アルゴリズムについて,今後も開発と検証を進めていく. 飛行モード推定アルゴリズムについては,実時間計算を念頭に置きつつ,より多くの飛行モードを自然に扱えるように改良・拡張を進める.具体的には,ハイブリッドシステムとしての定式化の検討を継続して進める.ハイブリッドシステムとしての定式化で実時間計算が可能となる目途が立たない場合は,連続変数のみのアルゴリズムで多様な飛行モードを扱えるような定式化について別途検討する. 実時間最適経路生成アルゴリズムについては,今後,航空機間の間隔確保問題にも適用可能か否かを検証し,必要に応じた改良・拡張等を行う.また,各機が独立して計算を行っても,Self Separationが達成されるような経路生成上のロジックについても検討を行う. さらに,複数のUAS・有人機が混在する空域を模擬した簡易的な飛行シミュレーション環境を構築し,開発した2つのアルゴリズムを同時に運用した場合における有効性を検証する.
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Causes of Carryover |
H27年度は,開発したアルゴリズムの検証を,理論計算と比較的シンプルな少数の数値シミュレーションによって実施していたため,既存の計算機環境で対応が可能だった.これにより,より本格的な飛行シミュレーション環境を整備するための物品の購入をH28年度に先送りしたことが,次年度使用額が生じた主な理由である.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
複数航空機の飛行シミュレーション環境を整備するための物品(ワークステーション,入力用インターフェイス機器等)の購入を計画している.また,研究成果発表のための旅費・学会参加登録費としても使用する.
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Research Products
(4 results)