2016 Fiscal Year Research-status Report
波の非線形性に着目したフリーク波中の船体横揺れに関する研究
Project/Area Number |
15K18295
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Research Institution | National Institute of Maritime, Port and Aviation Technology |
Principal Investigator |
宝谷 英貴 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (30636808)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | フリーク波 / 2次元模型 / 変調不安定波 / 波の非線形性 / 船体運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、フリーク波のような巨大波が船体の横揺れに及ぼす影響を波の非線形性の観点から明らかにすることを目的としている。そのために、フリーク波中の船体横揺れに関する模型実験,数値計算を実施する。当該年度は以下を実施した。 2次元模型船を用い、フリーク波に対する船体横揺れ計測実験を行った。模型船の断面形状は、ビルジ部が円弧形状の長方形である。実験は、(1)前後揺れ、縦揺れ、船首揺れを完全固定、左右揺れをバネで固定して上下揺れ、横揺れをフリーにした状態、および(2)完全フリー、の2状態で行った。それぞれ、規則波中の運動を計測するだけでなく、変調不安定波中の運動も計測した。(1)には、当所で元々製作していた2次元模型船を用いた。また、水槽での実験実施時には、模型船近傍での波浪場の2次元性を保つため、模型船を挟むように整流版を設置した。(2)では、模型船を漂流させることから、(1)より船長の長い模型を製作した。船体の端部影響を抑えるため、船首尾形状をやや丸めた。また、模型船に固定した複数のマーカーをステレオカメラで撮影することで、非接触の運動計測を行った。 規則波中の実験では、横揺れ固有周期付近の波浪中では、波高に対して横揺れの無次元値が小さくなる一方で、より短い波に対しては、波高に対して横揺れの無次元値が大きくなるというような非線形な応答が計測された。また、変調不安定波中の実験においても、横揺れを最大水位と波数で無次元化した値は、初期波形勾配やローカルな波形勾配に対して非線形な応答を示す結果が得られた。また、(1)と(2)でも応答が大きく異なるケースが見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2次元模型を用い、フリーク波中の船体運動計測実験を実施することができた。しかし、2次元時間領域船体運動計算プログラムを開発が遅れ、フリーク波中の船体横揺れ運動について数値計算と実験結果とを比較するというところまで至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は、波(フリーク波等の巨大波)の非線形性が船体横揺れ運動に及ぼす影響を明らかにすることである。この目的を達成するため、研究協力者が開発している境界要素法を用いたfully nonlinearな数値造波水槽を利用した2次元船体運動時系列計算に重点的に取り組むことにする。この数値計算結果を平成28年度に実施した実験結果と比較するとともに、数値計算において波の動圧項を無視したシミュレーションも行うなどし、波の非線形性が船体運動に及ぼす影響を考察していく。
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Causes of Carryover |
査定されて配算いただいた予算の範囲で、外国出張等を取りやめ、模型船製作等を行った結果として差額が生じ、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
データ解析のためのソフトウェア保守や学会発表に関連する旅費、参加費等に使用する予定である。
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