2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K18297
|
Research Institution | National Maritime Research Institute |
Principal Investigator |
三宅 里奈 国立研究開発法人 海上技術安全研究所, その他部局等, 研究員 (60618776)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | AIS / 衝突回避 / 避航操船 / 衝突リスク |
Outline of Annual Research Achievements |
海技研が所有しているAIS記録データ(Automatic Identification System:船舶自動識別装置)から、東京湾および周防灘の海域における避航操船ケースを抽出し、避航操船に関わる時期として、4つの時期(タイミング)を特定し、避航操船の特徴について解析を行った。4つのタイミングとして、避航を開始するとき、変針角を保持するとき、避航を終了し元の針路に戻り始めるとき、元の針路もしくは次の針路に戻ったとき、とした。 その結果、避航操船の特徴として、以下のことが示された。まず、避航操船を行う条件は、(1) 最小離隔距離が任意の閾値以下である、(2)前方もしくは右方航過距離が任意の閾値以下である、ことであることがわかった。つぎに、避航操船を行うときは、保持船の後方を航過する場合は、船首尾線を航過する時の距離(前方航過距離)を、保持船の前方を航過する場合は、正横を航過するときの距離(右方航過距離)を確保して避航してしていることがわかった。また、避航を開始する時期を表現する評価式を、方位変化と相対距離の関数として表現できることを示した。最後に、避航開始時期と過去の研究結果をベースに衝突リスクを表現する衝突リスク判定基準を示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の実施予定の研究範囲は、避航操船の特徴の解析と複数隻で見合いが生じたときのクラスター化の検討である。現時点で、避航操船特徴が解析され、クラスター化に入力変数となりえる衝突リスク判定基準が検討でき、クラスター化のための準備がほぼ完了したといえるため。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度実施した研究内容に基づき、複数隻で見合いが生じたときのクラスター化の検討を行う。AISから抽出した避航ケースを用いて、複数隻の見合いにおいて、1つの集団として避航行動の対象となった船舶群および避航対象外となった船舶群を特定し、相対位置、相対針路、衝突リスク判定基準等を因子として、クラスター分析を行い遭遇船のクラスター化の手段を検討する。 つぎに、クラスター化した船舶群との衝突リスクを、自船を中心とした前方の範囲内で数度刻みの針路毎および任意距離毎に求め、全船舶群の衝突リスクを重畳し、衝突リスクマップを作成する。 衝突リスクマップからリスクの低い避航経路を選択するための最適化の方法をモデル化する。画航路からの偏差や各遭遇船からの離隔距離を含めて、最適避航経路の決定手段を検討し、モデルの妥当性の評価として交通流シミュレーションに組み込み評価を行う。
|
Causes of Carryover |
プログラム外注費として見積もっていたが、本年度の研究ではプログラム化まで研究を進めることができなかったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
検証用プログラムとして、交通流シミュレーションに組み込む予定であるため、外注費用として使用する予定である。
|