2015 Fiscal Year Research-status Report
レアメタル回収に向けた放電破砕と衝撃波収束を利用した超高効率革新的破砕法の確立
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15K18300
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Research Institution | Saitama Institute of Technology |
Principal Investigator |
小板 丈敏 埼玉工業大学, 工学部, 講師 (00750192)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 衝撃波 / 気泡 / 水中放電 / 放電破砕 / 衝撃波フォーカッシング / リフレクター / レアメタル / リサイクル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではレアメタルのタンタル(Ta)を含む廃電子部品のTaコンデンサの破砕分離を対象とし、放電破砕とリフレクターを用いた放電誘起衝撃波フォーカシング破砕を融合した超高効率革新的放電破砕法の確立を目指している。 本年度の研究成果として以下の2点が挙げられる:(1)可視化計測による放電破砕法での衝撃波現象およびTaコンデンサの単体分離の原理を解明した、(2)数値解析によるTaコンデンサ筐体の衝撃波フォーカシング破砕を誘起するリフレクター形状の最適設計を行った。 (1)放電破砕法によるTaコンデンサ内部のTa焼結体とコンデンサ筺体の単体分離の原理を解明するため、Taブロックとアクリルブロック(筐体模擬)の間で放電を行い、ブロック境界の放電誘起衝撃波およびブロックの挙動をシャドウグラフ法で可視化し、高速度ビデオカメラを用いて撮影した。可視化結果より、単体分離はブロック境界での放電誘起衝撃波だけでなく、電極間で発生する単一気泡のブロックへの干渉により誘起されることが解明された。 (2)数値解析によりTaコンデンサ筐体の衝撃波フォーカシング破砕を誘起する最適なリフレクター長短径比は1.20であることが明らかとなった。リフレクターの第2焦点に筐体を模擬したアクリルブロックを設置した解析モデルにて、長短径比を変化させた。衝撃解析コードAUTODYNを使用し、Multiple Material Euler法を適応した2次元軸対称モデルを用いて、アクリルブロックに負荷する圧力の時間履歴の数値解析を行った。解析結果より、長短径比が1.20の場合、アクリルブロックに負荷する収束された水中衝撃波の圧力は先行水中衝撃波の圧力の23倍となり、最大値となった。長短径比1.20、長径20mmにおいて、この収束水中衝撃波のピーク圧力は263MPaであり、コンデンサ筺体の破壊強度75MPa以上の高圧が発生した。今後、可視化計測と圧力計測を用いて最適設計されたリフレクター形状の評価を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、平成27年度に可視化計測と圧力計測による最適設計されたリフレクター形状の評価を行う計画であったが、平成28年度に実施することになった。リフレクター形状を設計するためにはリフレクターを装着させる放電装置を用いた放電破砕法での衝撃波現象およびTaコンデンサの単体分離の現象解明が必要となった。また、研究代表者の所属機関が変更になったため研究環境の新たな構築が必要となり、衝撃波フォーカシング破砕を誘起するリフレクター形状の最適設計の研究遂行に時間を有した。以上の2点の理由により計画に遅れが生じたが、最適なリフレクー形状の設計はできており、次年度に遅れを取り戻すべく可視化計測と圧力計測の実験に着手し、最適設計されたリフレクターを用いた放電誘起水中衝撃波の収束現象と高圧発生の評価の研究を推進する。
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Strategy for Future Research Activity |
最適設計されたリフレクターを製作し、可視化計測と圧力計測の実験により、リフレクターを用いた放電誘起水中衝撃波の収束現象と高圧発生の評価を行う。評価後、このリフレクターを放電破砕装置に実装して放電破砕と衝撃波フォーカシング破砕を融合した超高効率革新的放電破砕法を構築し、実証実験を行う。可視化計測を用いて、本研究での革新的放電破砕法による破砕単体分離現象の詳細な解明を行い、Taブロックの単体分離の有効性を検証する。本研究の革新的放電破砕法と従来の放電破砕法でのTaコンデンサ破砕単体分離現象およびTaブロックの分離回収ができる放電エネルギーの閾値、放電回数を比較し、破砕効率の評価を行う。以上の研究を推進し、超高効率革新的放電破砕法を確立する。
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Causes of Carryover |
当初、平成27年度に可視化計測と圧力計測による最適設計されたリフレクター形状の評価を行う計画であったが、平成28年度に実施することになった。よって、リフレクター製作費、可視化計測用光学部品と圧力センサーの物品費が次年度使用額として生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に遂行することになった、リフレクターを製作し、可視化計測と圧力計測の実験によるリフレクターを用いた放電誘起水中衝撃波の収束現象と高圧発生の評価の研究を行うために、リフレクター製作費、可視化計測用光学部品と圧力センサーの物品購入に次年度使用額を使用する。研究代表者の所属機関が変更になったため、研究環境を新たに構築する必要が生じた。研究を円滑に遂行するためのワークステーションの購入に次年度使用額を使用する。
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