2016 Fiscal Year Research-status Report
レアメタル回収に向けた放電破砕と衝撃波収束を利用した超高効率革新的破砕法の確立
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15K18300
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Research Institution | Saitama Institute of Technology |
Principal Investigator |
小板 丈敏 埼玉工業大学, 工学部, 講師 (00750192)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 衝撃波 / 気泡 / 水中放電 / 放電破砕 / 衝撃波フォーカッシング / リフレクター / レアメタル / リサイクル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではレアメタルのタンタル(Ta)を含む廃電子部品のTaコンデンサの破砕分離を対象とし、放電破砕とリフレクターを用いた放電誘起衝撃波フォーカシング破砕を利用した超高効率革新的放電破砕法の確立を目指している。 本年度の研究成果として以下の2点が挙げられる:(1) 昨年度の数値解析で解明されたTaコンデンサ筐体の衝撃波フォーカシング破砕を誘起するリフレクター形状の評価、(2) コンデンサ筐体樹脂を破砕させるため、放電誘起衝撃波フォーカシング破砕法への活用を目的とした、放電誘起水中衝撃波と単一気泡のマイクロバブルへの干渉を利用した樹脂薄板破砕法の研究開発を行った。 (1) 衝撃解析コードAUTODYNを使用した数値解析を行い、昨年度の数値解析で最適化したリフレクターを用いたTaコンデンサ筐体の衝撃波フォーカシング破砕の発生を評価した。本解析結果において、リフレクターの第2焦点での収束水中衝撃波のピーク圧力はコンデンサ筺体樹脂の破壊強度以上の高圧であるにも関わらず、筺体の破壊は発生しなかった。そして、筺体を破壊するためには、収束水中衝撃波のピーク圧力でなく、筐体樹脂の破壊強度以上の水中衝撃波の力積を筺体樹脂の表面に連続的に作用させる、または、強力積を単発的に作用させる必要があることが解明された。 (2) (1)の成果、および、本研究ではパルス放電装置を所有していないことより、放電誘起衝撃波フォーカシング破砕法への活用を目的とした、単発放電誘起の水中衝撃波と単一気泡のマイクロバブルへの干渉を活用した強力積による樹脂薄板破砕法の開発を行った。本研究開発では放電誘起水中衝撃波負荷による薄板に付着したマイクロバブル群崩壊時の衝撃圧、力積の理論解析法を開発した。そして、可視化計測を用いた実証実験を行い、樹脂薄板を破砕させるマイクロバブル半径、爆発深さ(樹脂薄板と放電電極間との距離)を解明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、平成28年度に可視化計測と圧力計測の実験により、リフレクターを用いた放電誘起水中衝撃波の収束現象と高圧発生の評価、および、破砕効率の評価実験を行う計画であったが、平成29年度に実施することになった。リフレクターを用いたコンデンサ筐体樹脂の衝撃波フォーカシング破砕発生の数値解析の結果より、筐体樹脂を破壊するためには、パルス放電装置を用いた連続的な収束水衝撃波、または、筐体樹脂の破壊強度以上の力積を単発的に筐体表面に負荷させる必要が判明した。本研究ではパルス放電装置を所有していないため、新たに筐体樹脂の破壊強度以上の水中衝撃波力積の発生法の開発が必要となった。以上の理由により計画に遅れが生じたが、放電誘起水中衝撃波と単一気泡のマイクロバブルへの干渉を利用した樹脂薄板破砕法の研究開発を行っており、本破砕法を本研究での放電誘起衝撃波フォーカシング破砕を利用した革新的放電破砕法に導入し、コンデンサ筐体の破砕を可能とするリフレクターを用いた放電誘起収束水中衝撃波の高圧力、高力積の評価、および、破砕効率の評価実験を推進する。
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Strategy for Future Research Activity |
放電誘起水中衝撃波と単一気泡のマイクロバブルへの干渉を利用した樹脂薄板破砕法を本研究での放電誘起衝撃波フォーカシング破砕を利用した革新的放電破砕法に導入し、レアメタルの Taを含む廃電子部品のTaコンデンサの高効率な破砕分離法を確立する。可視化計測と圧力計測の実験により、本破砕分離法におけるリフレクターを用いた放電誘起水中衝撃波の収束現象と高圧発生の評価を行う。そして、本研究の革新的放電破砕法と従来の放電破砕法でのTaコンデンサ破砕単体分離現象およびTaブロックの分離回収ができる放電エネルギーの閾値、放電回数を比較し、破砕効率の評価を行う。以上の研究を推進し、超高効率革新的放電破砕法を確立する。
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Causes of Carryover |
当初、平成28年度に可視化計測と圧力計測の実験による、リフレクターを用いた放電誘起水中衝撃波の収束現象と高圧発生の評価、および、破砕効率の評価実験を行う計画であったが、平成29年度に実施することになった。これら実験で必要な可視化計測用光学部品と圧力センサーの物品費が次年度使用額として生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度に遂行することになった上記の可視化計測と圧力計測の実験で必要な視化計測用光学部品と圧力センサーの物品購入に次年度使用額を使用する。
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