2015 Fiscal Year Research-status Report
メッシュフリー法を用いた新しい解像度可変型全波形インバージョン手法の開発
Project/Area Number |
15K18301
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
武川 順一 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70463304)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 全波形逆解析 / メッシュフリー差分法 / 波動伝播 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,メッシュフリー法を用いた全波形逆解析手法の開発を目的としておこなわれており,本年度では以下の結果が得られた。 2次元音響波伝播問題に対して,メッシュフリー法を波動伝播シミュレータとして用いた全波形逆解析コードを開発し,簡単な数値モデルに対して提案手法を適用した。その結果,局所的に計算点分布を変更することによって,非常に簡便にモデル内の解像度を速度分布の変化に応じて改良することができた。これにより,提案手法は計算精度を損なうことなく計算コストを抑えられることが示された。従来法である差分法と計算コストを比較したところ,単純なモデルにおいても半分以下のコストで計算可能であることがわかった。この成果は現在,論文として公表するべく取りまとめているところである。 モデル境界部分において本提案手法を適用するには,新しく吸収境界条件を開発する必要があることがわかった。従来の吸収境界条件では,モデル境界で規則的な格子配置を仮定しており,本提案手法により任意の計算点分布を与えると吸収境界条件の適用が困難になる。そこで,本提案手法にもマッチするような新しい吸収境界条件を提案し,その性能を数値実験により検証したところ,任意の計算点配置でも性能を損なうことなく入射波動場を吸収できることが示された。この成果は,米国物理探査学会(Society of Exploration Geophysicists: SEG)のGeophysics誌に掲載予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2次元音響波問題に対して,本提案手法の有効性を数値実験により示すことができた。単純なモデルに対して従来法である差分法との計算コストの比較をおこなったところ,約半分以下のコストで計算がおこなえたことから,より複雑なモデルではさらなるコストの削減が期待される。とりわけ,従来は計算が難しかった3次元問題での本提案手法による大幅な計算コストの削減が期待される。 吸収境界条件に関して,当初予定していなかった問題も生じたが,それに関しては年度内に解決することができており,大きな問題にはならないと考えている。解決にあたり新しく開発した吸収境界条件は,波動伝播に関する諸問題にも適用可能であり,本研究の遂行以外への波及効果も期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
2次元音響波問題について,本提案手法の有効性が示されたので,今後は3次元問題に対してどの程度,本提案手法が有効であるか確かめていく。また,全波形逆解析には大きく分けて時間領域と周波数領域での解析があるが,より広く用いられている周波数領域での解析にも本提案手法は有効であると考えられるため,周波数領域での有効性についても検討をおこなっていきたい。また,本格的な実務への適用を見据えるには3次元解析や弾性波問題への拡張は重要であるため,そちらも視野に入れて研究を推進していく予定である。
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