2015 Fiscal Year Research-status Report
革新的ピストンを用いた2段ガス加速方式による固体水素ペレット入射の高速度化研究
Project/Area Number |
15K18307
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
本島 厳 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (00509507)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 2段ガス加速 / 固体水素ペレット / アイスピストン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、核融合燃料供給法の一つである固体水素氷粒ペレット入射法において、入射速度の高速化ならびに高繰り返し運転が可能な信頼性の向上のため、「アイスピストン」を用いたこれまでにない2段ガス加速方式を提案し、開発を行う。本研究によりペレット入射を高速度化し、プラズマ実験に供することにより、核融合炉に向けてペレット燃料吸収過程を精度よく予測、外挿することが可能となる。 本研究の目的は、長期間でも信頼性のある2段ガス加速方式の開発のため、駆動による金属ピストンの摩耗を解消できる、斬新な発想に基づく2段ガス加速方式を開発することである。具体的には、これまでの金属製のピストンの代わりとなるものとして、プラズマへ入射するペレットとは別に、あらかじめ大型サイズのペレット「アイスピストン」を生成しておき、それを射出して 100MPaオーダの高圧圧縮ガスを作り出し、2段ガス加速方式として活用する。 本年度は、アイスピストンが金属製ピストンの代用となりうるかどうか検証を行った。アイスピストンの大きさは、これまで京都大学で行われてきた2段ガス加速方式の仕様を参考に約20mmと決定した。アイスピストンの材質としてアルゴンを採用し、その質量は従来型のピストンと同程度であり、アイスピストンの加速に必要な流量を見積もった。その結果、必要流量は4000 Pam^3程度であることがわかった。この流量を満たすためには、アイスピストンの加速用に大流量の高速射出弁を開発する必要があることがわかった。さらにアイスピストン作成のために、アルゴンガスの凝縮が必要であり、本研究では冷凍機による冷却システムを採用することとした。本年度はそのシステム設計を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
アイスピストの加速のために加速ガスの流量を見積もったところ、特殊な大流量の高速射出弁が必要であることがわかり、その仕様策定および製作の目処に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、大流量の高速射出弁の製作のほか、アイスピストン用の冷却システムを構築する。 アイスピストンの生成を確認後、片側を封じ切った射出管内でアイスピストンの射出試験を行い、圧力計を用いて高圧圧縮ガスが生成されるか試験を行う。射出試験にて高圧圧縮ガスの生成を確認した後、プラスチック型のペレットを用いて射出試験を行う。ペレット速度はライトゲート計測により測定し、高速ペレットが射出できているか調べる。なお、ペレットサイズは3mm を予定している。核融合科学研究所ではすでに1段ガス加速方式のペレット 入射装置が大型ヘリカル装置(LHD)に設置、プラズマ実験で用いられており、そのサイズは3mm である。同サイズのペレットで射出試験を行い、1段ガス加速方式とのデータの比較を行う。 研究が当初計画どおりに進まない時の対応としてアイスピストンのサイズが大きくピストンの生成に時間を要するほか、場合によっては高圧圧縮ガスを生成できるだけの強固なアイスピストンを冷凍機1台の冷却能力では生成できない事態が考えられる。その場合は、アイスピストンの形状、サイズを最適化して、アイスピストンに必要な生成量を低減して問題を解消する。
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Causes of Carryover |
想定していたよりも高速射出弁の仕様策定が難航したほか、見積もり額が高額であったため、繰り越して次年度分と合算して使用することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
高速射出弁の仕様がまとまり、購入の目処が立ったので、それに使用する。
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