2015 Fiscal Year Research-status Report
光干渉縞を用いた微粒子の粒径・数密度・速度同時計測法の微小液滴への拡張
Project/Area Number |
15K18324
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
上澤 伸一郎 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力基礎工学研究センター, 研究員 (80737073)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 計測工学 / 原子力 |
Outline of Annual Research Achievements |
原発再稼働に必要なフィルタードベントのひとつであるベンチュリスクラバの性能評価のため、スクラバ内を高速で運動する微小液滴の計測技術開発が求められている。本研究では、レーザー光を用いた光干渉縞方式による微粒子の計測法を確立し、微小液滴への適用可能性について検討した。具体的な研究実績は以下の通りである。 1.微粒子計測による試験的データベースの構築(1)1-1.干渉縞に対する受光素子の電圧信号特性の把握:レーザーと微粒子の光学的作用によって発生する干渉縞とその光を受けた受光素子から出力される電圧信号の特性を把握するため、スクリーンに映る干渉縞と電圧信号の同期計測を実施した。その結果、微粒子を混入させた場合、干渉縞の発生が確認できたとともに、同時に受光素子からの電圧が減少することを確認した。これは微粒子によるレーザー光の散乱によって受光素子へ到達する光量が減少したためである。1-2.粒径に対する電圧信号特性の理解:微粒子の粒径に対して、受光素子の電圧計測を行ったところ、粒径が小さくなるほど、微粒子通過時の電圧減少量が小さくなることを確認した。これは粒径が小さなくなるほど光散乱強度が小さくなるためと考えられる。このことから、電圧の減少量を計測することで粒径の予測が期待できる。 2.電圧信号特性の解析とデジタルロジックへの落とし込み:上述の試験結果を基に、微粒子計測の電圧信号特性の分別を数式化して、デジタル回路上で弁別可能なアルゴリズムを検討し、ソフトウェアを作成した。 以上により、レーザー光を用いた光干渉縞方式による微粒子の計測が可能であることが明らかにし、デジタル回路上で粒径の自動判別を可能とするシステムを構築した。そのシステムによって得られた知見は今後の微小液滴を対象とした計測技術開発におけるデータベースとして活用する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、「2.電圧信号特性の解析とデジタルロジックへの落とし込み」の前に、「1-3.計測可能な微粒子の数密度の把握」と「1-4.計測可能な微粒子の速度の把握」を実施する予定であったが、計測データが膨大であり、データの整理が困難であった。そこで、2.電圧信号特性の解析とデジタルロジックへの落とし込み」を優先し、処理システムを先に構築することで膨大なデータに対応したが、システムの製作に時間を要したため当初の予定よりやや遅れる状況となった。
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Strategy for Future Research Activity |
1.微粒子計測による試験的データベースの構築(2)粒子の数密度をパラメータとして試験を行うことで、高密度による多重散乱等の数密度が微粒子計測に及ぼす影響について理解するとともに、粒子数密度に対する計測限界を把握する。数密度の調整は純水による希釈で濃度調整を行う。また、速度による計測可能範囲を定量的に明らかにするために、流量計を調整し、速度をコントロールすることで、速度を試験条件とした受光素子による粒子計測を行う。 2.液滴計測装置への改造:液滴計測を実施するため、試験装置の改造を行う。微粒子計測装置の計測流路を取り外し、噴霧ノズルを設けることで噴霧を生成し、その下流において液滴の計測を実施する。 3.液滴の確認: 流量やノズルに対する液滴の物理的特性の確認をハイスピードビデオカメラによる直接撮影によって行う。ここでは、以下の試験で真値とする液滴径、液滴数密度、液滴速度を把握する。 4.微粒子計測による試験的データベースの構築 4-1.液滴径に対する電圧信号特性の理解:液滴径をパラメータにして得られる電圧信号より、液滴径と電圧信号特性、干渉縞パターンの相関関係について明らかにする。4-2.計測可能な液滴の数密度の把握:液滴の数密度をパラメータとして試験を行うことで、高密度による多重散乱等の数密度が液滴計測に及ぼす影響について理解するとともに、液滴数密度に対する計測限界を把握する。4-3.計測可能な液滴速度の把握:速度に対する計測可能範囲を定量的に明らかにするために、噴霧ノズルや流量を調整し、速度をコントロールすることで、速度をパラメータとして、受光素子による液滴計測を行う。 5.ベンチュリスクラバへの適用可能性の評価並びに課題抽出:以上の微小液滴に対する試験データより、ベンチュリスクラバの液滴計測への適用可能性について検討ならびに課題の抽出を実施する。
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