2016 Fiscal Year Research-status Report
CRISPR/Cas9を用いたin vivoゲノム編集による遺伝子治療法の開発
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15K18330
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
今野 歩 群馬大学, 大学院医学系研究科, 講師 (40509048)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ゲノム編集 / 遺伝子治療 / 脊髄小脳失調症 |
Outline of Annual Research Achievements |
【脊髄小脳失調症モデルマウスを対象としたIn vivoノックアウト】 申請当初から予定していた計画通り、化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)由来のCas9(SpCas9)とAtaxin-1に対するgRNAを搭載したアデノ随伴ウイルスベクター(AAV)を、脊髄小脳失調症1型のモデルマウスに対して、In vivo ノックアウトによる治療を実践した。AAV投与後、運動失調の改善がみられるかどうか、Rotarod試験により経過を追跡したが、改善は全くみられなかった。さらに、AAV投与マウスにおいて、gRNAのターゲットとなる領域のゲノム配列を解析したところ、全く編集が起こっていないことが確認された。この原因として、SpCas9は遺伝子サイズが大きく、AAVのパッケージング限界に極めて近いサイズであったために、十分な遺伝子発現が得られていないためではないかと考えた。実際にSpCas9にタグとして付加されているFlagによる免疫染色でも明確な発現は確認できなかった。そこで、本研究計画の申請後に報告された、遺伝子サイズの小さい、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)由来のCas9(SaCas9)(Ran et al., 2015)を用いる事とした。SaCa9用のgRNAを設計し直し、Ataxin-1をノックアウトするのに最適な配列を選択した。このgRNAをSaCas9を含むAAVに搭載し、脊髄小脳失調症1型のモデルマウスに対する治療効果を検討中である。 【関連する研究発表】 本研究と関連する研究として、AAVを用いた研究を国際誌に1報報告した。また、関連性は薄いが、AAVを用いた研究や国際共同研究による論文を併せて4報報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は当初の計画以上に進展していると考えていたが、SpCas9によるIn vivo ノックアウトがうまくいっていないことが発覚し、研究計画の変更を余儀なくされた。しかしながら、本研究計画の申請後に報告された SaCas9 を用いた検討に速やかに移行しており、現在、治療効果の検証中である。このため、「おおむね順調に進展している。」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きIn vivoノックアウトによる脊髄小脳失調症1型モデルマウスにおける治療効果を検証していく。また、実際にゲノムの編集が起きているかをゲノムシークエンスにより解析する。
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Causes of Carryover |
当初の予定より消耗品の購入頻度が高くなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度は初年度に買った消耗品の枯渇が予想され、当該年度で購入しなかった分の消耗品分を次年度の早い段階で購入する必要が出てくると思われる。このため、特に大きな使用計画の変更をしなくとも、計画通りの研究費の使用が可能である。
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