2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K18336
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
山下 哲 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (40740197)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 光遺伝学 / In vivo カルシウム計測 / 青班核 / ノルアドレナリン / 疼痛 / 睡眠障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、(1)無麻酔下かつ無拘下の動物個体における行動発現時の青斑核ノルアドレナリン(NA)神経活動を検出する方法の独自開発、(2)光遺伝学を用いて青斑核NA神経の活動のみを任意のタイミングで調節するin vivo実験系の立ち上げを計画していた。まず、ドパミン-β-水酸化酵素(DBH)プロモータを用いてDBH神経細胞特異的にtTA(テトラサイクリントランスアクチベータ)を発現するDBH-tTAマウス、およびtTA依存的に遺伝学的カルシウム蛍光プローブ(GCaMP6)、チャネルロドプシン2(ChR2)、アーキロドプシン(ArchT)を発現可能なマウス(TetO-GCaMP6マウス、TetO ChR2マウス、TetO ArchTマウス)を作成した。(1)において、AAV-TetO GCaMP6 を用いて青班核ノルアドレナリン神経特異的にGCaMP6を発現させ尾部へ侵害刺激(機械刺激)を与えたところ、刺激に呼応したノルアドレナリン神経活動に伴うカルシウム応答をGCaMP6の蛍光変化により検出することに成功した。このことから、開発中であった本システムにより、in vivo条件下において脳深部の神経活動をファイバーを介して検出可能であることが確認された。(2)においては、DBH-tTAマウスを TetO ArchTマウスと交配させ、NA神経細胞特異的に ArchTを発現させたマウスを作成した。このマウスを用いて、急性スライスを用いて緑色光照射によって神経活動が抑制されることを確認した。そこで、自由行動下で心拍・体温を測定しながら緑色光照射を行ったところ、心拍が過活動状態時のみ、光照射がそれを減少させることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題において平成27年度実施予定だった(1)無麻酔下かつ無拘下の動物個体における行動発現時の青斑核ノルアドレナリン(NA)神経活動を検出する方法の独自開発においては、当初予定していなかった研究代表者の所属機関の異動があったことにより、本システムの開発が一時中断し、新任地でシステムを再構築する必要が生じたため、当初の実施計画予定よりやや遅れることとなった。なお本システムにより神経活動を検出するところまでは終了しており、疼痛行動時及び睡眠覚醒パターン変化時における青班核ノルアドレナリン神経活動の記録は、平成28年度に行う。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、(2)光遺伝学を用いて青斑核NA神経の活動のみを任意のタイミングで調節するin vivo 実験系の立ち上げを予定していたが、まずは研究代表者の異動により遅れていた(1)の続きを行う。(2)においては、すでに実験系の立ち上げは終了し、本実験系を使用して in vivo 条件下において青班核ノルアドレナリン神経を光抑制することで、心拍数変化を誘導することに成功している。よって(2)の研究計画に関しては予定より少し進んでいるので、(1)の遅れをリカバーし、本実験計画を研究期間内に遂行することは、十分可能と考えている。
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