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2015 Fiscal Year Research-status Report

興奮性シナプス入力の樹状突起内統合におけるグリア・ニューロン代謝連関の解明

Research Project

Project/Area Number 15K18344
Research InstitutionJikei University School of Medicine

Principal Investigator

永瀬 将志  東京慈恵会医科大学, 医学部, ポスト・ドクトラルフェロー (40749462)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2017-03-31
Keywords樹状突起内統合 / アストロサイト / ラクテート / 扁桃体 / エネルギー代謝
Outline of Annual Research Achievements

扁桃体中心核(CeA)の二種のシナプス、①腕傍核(LPB)-CeAと②扁桃体外側基底核(BLA)-CeAシナプスはどちらも興奮性であるにもかかわらず、それぞれシャフトシナプスとスパインシナプスを形成する。これらの特徴的なシナプスが単一ニューロンに形成されるCeAニューロンを用いて、当該年度は以下の事実を見出した。
(1)アストロサイトによるラクテート依存的エネルギー供給が両シナプス伝達の維持に担う役割を明らかにするために、その機能分子であるモノカルボン酸トランスポーター(MCT)の薬理学的阻害が及ぼす影響を解析した。①MCT阻害はLPB-CeAとBLA-CeAシナプス伝達をどちらも60%以上同程度に抑制した。②このシナプス伝達抑制は両シナプスともにシナプス前の放出確率の低下を伴わなかった。③MCT阻害はCeAニューロンをわずかに脱分極させた。以上の知見は、興奮性シナプスの形態に関わらず、シナプス伝達の維持にアストロサイトによるラクテート供給が不可欠であることを示す。
(2)LPB-CeAとBLA-CeAの興奮性シナプス入力が樹状突起内で統合される様式を明らかにするために、両シナプス伝達に伴う局所的カルシウム動態とその樹状突起内伝播を評価した。①両シナプス伝達はどちらもスパインとシャフトで、一過性かつ局所的なカルシウム動態をNMDA受容体依存性に誘発した。②LPB-CeAの局所的カルシウム動態はシャフトで多く認められたのに対し、BLA-CeAはスパインとシャフトで同程度に生じた。③両シナプス伝達に伴う局所的カルシウム動態が近接して生じたとき、両カルシウム動態は樹状突起の同一部位まで伝播した。以上の知見は、異なる投射元からの興奮性シナプス入力が樹状突起の異なる部位に投射し、入力位置依存的に樹状突起内で統合される可能性を示す。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

当初は当該年度に、LPB-CeAとBLA-CeAシナプス活動時のCeAアストロサイト内カルシウム動態の解析を行う計画であった。しかし、本計画のアプローチ、すなわち、アストロサイト特異的にCreを発現するマウスとCre依存的にカルシウム感受性タンパク質 (GECI) を発現するマウスの交配からアストロサイト特異的GECI発現トランスジェニックマウスを作製するアプローチでは、GECIがアストロサイトに十分発現しない可能性があるとの情報を得たため、アプローチを再検討する必要が生じた。より効率的な発現が予想されるウイルスベクターを用いたアプローチを試みることとし、脳内微量注入実験の予備実験を進めている。
また、計画の一部変更に伴い、次年度に計画していた、LPB-CeAとBLA-CeAシナプス伝達に伴うニューロン内局所的カルシウム動態の解析に着手した。しかし、高速カルシウムイメージングの装置の最適化および実験条件の検討に想定よりも時間を費やした。直径1-2 umほどのスパインからイメージングをするためには安定した画像の取得が必須であるが、装置の骨組みの不安定さに起因する画像のブレが生じており、原因同定と問題解決に時間を要した。また、広範囲に三次元に広がる樹状突起に多数存在するシナプスから、特定のシナプス伝達に伴う局所的カルシウム動態が生じる樹状突起部位を同定するのは容易ではなく、その効率を改善するために試行錯誤を重ねて撮像条件や刺激条件を改善した。これらに時間を要したため、当該年度に計画していた、低エネルギー下シナプス伝達に及ぼすアストロサイト依存的エネルギー供給阻害の影響の解析にやや遅れが生じている。

Strategy for Future Research Activity

現在までの進捗状況に記載したように、アストロサイト内カルシウム動態の解析のアプローチを当初の計画から変更する。アストロサイト特異的にCreを発現するGFAP-Creマウスに対し、Cre依存的にGECIを発現するアデノ随伴ウイルスベクターを脳内微量注入によって感染させ、アストロサイト特異的なカルシウム動態の解析を進める。
当該年度に引き続き、シナプス伝達に伴うニューロン内局所的カルシウム動態の解析を行う。局所的カルシウム動態が生じる樹状突起部位の同定効率をさらに向上させるために、グリシンまたはD-セリンによってNMDA受容体電流を増大させ、局所的カルシウム動態の増大を試みる。
また、アストロサイト依存的エネルギー供給がシナプス伝達維持に担う役割をさらに詳細に解明するために、低エネルギー下シナプス伝達に及ぼすアストロサイト依存的エネルギー供給阻害の影響の解析を進める。

Causes of Carryover

アストロサイト内カルシウム動態の解析のために二種類のトランスジェニックマウスを購入する計画だったが、アプローチの再検討が必要となり、トランスジェニックマウスを購入しなかった。また、高速カルシウムイメージングの最適化に時間を要したため、実験に必要な消耗品の購入が予定よりも少なくなった。そのため次年度使用額が生じた。

Expenditure Plan for Carryover Budget

主に、実験に必要な消耗品(一般試薬、電気生理実験用消耗品、イメージング実験消耗品)および実験動物の購入に使用する。また、アストロサイト内カルシウム動態解析のアプローチの変更に伴い必要となった一種類のトランスジェニックマウスおよびウイルスベクターを購入する。

  • Research Products

    (1 results)

All 2016

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] モノカルボン酸トラスポーターによる神経機能維持機構の脳部位差2016

    • Author(s)
      永瀬将志、渡部文子、加藤総夫
    • Organizer
      第93回日本生理学会大会
    • Place of Presentation
      札幌
    • Year and Date
      2016-03-22 – 2016-03-24

URL: 

Published: 2017-01-06  

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