2016 Fiscal Year Annual Research Report

Astrocyte-neuron energetic interaction in dendritic integration of excitatory synaptic inputs

Research Project

Project/Area Number	15K18344
Research Institution	Jikei University School of Medicine
Principal Investigator	永瀬将志東京慈恵会医科大学, 医学部, ポスト・ドクトラルフェロー (40749462)
Project Period (FY)	2015-04-01 – 2017-03-31
Keywords	樹状突起内統合 / アストロサイト / ラクテート / 扁桃体 / エネルギー代謝
Outline of Annual Research Achievements	二種の特徴的な興奮性シナプス、①シャフトシナプスの腕傍核（LPB）－扁桃体中心核（CeA）と②スパインシナプスの扁桃体外側基底核（BLA）－CeAが単一ニューロンに形成されるCeAを用いて、異なる投射元からの興奮性シナプス入力がどのようにアストロサイトによってエネルギー的に支えられ、どのように樹状突起内で干渉して統合されるのか、その機構の解明を目的に研究を進めた。 27年度は、アストロサイトによるラクテート依存的エネルギー供給が、LPB－CeAとBLA－CeAの両興奮性シナプス伝達の維持に共通して必須であることを明らかにした。加えて、興奮性シナプス伝達に伴うカルシウム動態の可視化によって、両シナプス伝達が樹状突起の異なる部位で局所的なカルシウム上昇を誘発する現象を見出した。引き続き28年度もシナプス伝達に伴う局所的カルシウム動態を解析し、その時空間的特性を明らかにした。①各シナプス伝達に伴う局所的カルシウム上昇はどちらもスパインとシャフトで認められたが、これらのカルシウムスポットはLPB－CeAではシャフトで、BLA－CeAではスパインで有意に多く観察された。②カルシウムスポットと細胞体の距離、および、カルシウムスポットが観察された樹状突起に至るまでの分岐数に、両シナプス伝達間で差は認められなかった。③大部分のカルシウムスポットはどちらか一方のシナプス伝達に特異的であったが、一部のスポットは両方のシナプス伝達に応答した。④各スポットが近接して存在したとき、シナプス伝達に伴うカルシウム上昇は樹状突起の同一部位まで伝播した。⑤シナプス伝達に伴うカルシウム上昇の樹状突起内伝播は単回刺激よりも連続刺激誘発シナプス伝達で顕著であった。以上の知見は、異起源の興奮性シナプス入力が樹状突起の異なる部位に主に投射し、入力位置と入力頻度依存的に樹状突起内で統合される可能性を示す。