2016 Fiscal Year Annual Research Report
Temporal coding of odor information: the role of the presynaptic inhibitory circuit
Project/Area Number |
15K18353
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
岩田 遼 国立研究開発法人理化学研究所, 多細胞システム形成研究センター, 訪問研究員 (50612131)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 嗅球 / 嗅細胞 / 2光子イメージング / カルシウムイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス嗅球では、僧帽細胞の発火頻度だけでなく、発火タイミングによっても匂い情報が表現される。僧帽細胞における匂い応答のタイミングが調節される回路基盤を明らかにするために、嗅球側方抑制回路の機能に着目した。糸球層の側方抑制回路を担う短軸索細胞はドーパミン作動性かつGABA作動性であり、嗅細胞軸索末端にはドーパミンD2型受容体およびGABAB受容体が発現している。短軸索細胞が嗅細胞軸索にシナプス前抑制を出力する可能性を検証することで、側方抑制回路の機能の一端を明らかにしようと計画した。 そこで前年度に引き続き、GABAB受容体遺伝子およびドーパミンD2型受容体遺伝子の両方を嗅細胞特異的にノックアウトするマウスの作製を行った。この変異マウスでは、糸球体におけるGABAB受容体の発現量は顕著に低下していたが、ドーパミンD2型受容体については適切な抗体を入手できなかったため未確認である。 このマウスを用いて嗅細胞軸索における匂い応答の解析を行った。嗅細胞軸索のカルシウムイメージングでは、興奮性の匂い応答に加えて抑制性の応答も観察される。嗅細胞軸索の抑制性応答は、(1)側方抑制回路が出力するシナプス前抑制を反映する可能性と、(2)インバースアゴニストによる可能性(この場合、嗅上皮における細胞体の抑制性応答を反映する)がある。作製した変異マウスでは、嗅細胞軸索における抑制性応答が依然として観察された。この結果からインバースアゴニストの機構が示唆されるが、作製した変異マウスではドーパミンD2型受容体が完全にノックアウトされていない可能性もある。また、インバースアゴニストの可能性は、嗅上皮(嗅細胞の細胞体)の生体イメージングで抑制性の応答がほとんど観察されなかったことから考えにくい。今後、シナプス前抑制以外の側方抑制機構も含めて慎重に検討する必要がある。
|