2015 Fiscal Year Research-status Report
NASH 肝細胞癌の発がんメカニズム解明及び治療標的分子の同定
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15K18415
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
石井 真美 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 病院講師 (60587814)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 非アルコール性脂肪性肝疾患 / 肝細胞癌 / 発がん / プロテオーム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD: nonalcoholic fatty liver disease)及び非アルコール性脂肪肝炎(NASH: nonalcoholic steatohepatitis)を背景とした肝細胞癌の発がんメカニズムを解明し治療標的となりうる分子を同定することを目的としている。本年度は、自然発症NASH-肝細胞癌モデルマウスであるTSOD マウスを用いてNASHにおける肝腫瘍発生メカニズムについて検討を行った。TSODマウスでは、12ヶ月齢および14ヶ月齢ともに、肝臓の線維化は目立たなかったが、肝細胞への脂肪滴沈着、肝細胞壊死や小葉間への炎症細胞浸潤などのヒトNASHに類似した組織所見が認められた。TSODマウスではヒトNASH様の組織変化を背景として多数の肝腫瘍の発生が認められた(TSODマウス12ヶ月齢:61%、14ヶ月齢:81%、TSNOマウス12ヶ月齢:20%)。QSTAR-Elite LC-MS/MS及びIngenuity pathway解析を用いて12ヶ月齢の非腫瘍部の肝組織のプロテオーム解析を行ったところglutathione S-transferase, pi 1やacyl-CoA oxidase 1の発現上昇が認められ、上流調節因子の解析ではインスリン伝達経路、レプチン受容体経路、catenin beta 1やtranscription factor 7-like 2の活性化が認められた。これらがNASHにおける肝腫瘍発生に関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスを用いた実験において肝腫瘍の検体が予定どおり得られており、プロテオーム解析などのマウスの検体を用いた実験を主に行っている。今後ヒト検体を用いたプロテオーム解析を行い、それらをあわせて検討することで、治療標的分子となりうる候補蛋白質を同定することにつながるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、NASH-肝細胞癌モデルマウスの検体を用いたプロテオーム解析を継続する。 ヒト肝細胞癌の病理組織学的検討およびプロテオーム解析を行う。 プロテオーム解析で同定された蛋白質を免疫染色法で組織における発現量や局在を確認し、Real-time Quantitative PCR等を用いて発現mRNAと比較検討する。
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Causes of Carryover |
プロテオーム解析による候補蛋白質の同定が終了しておらず、免疫染色に用いる抗体やReal time PCRに用いるprobesなどの選定の途中であるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
プロテオーム解析に使用するiTRAQ試薬やLC-MS/MS 用プロテイン解析キットが必要である。さらに、プロテオーム解析で同定された候補蛋白質の確認のため、免疫染色や遺伝子解析を行うための抗体、試薬や各種消耗品が必要である。また、研究発表のための旅費及び論文の投稿等にそれぞれの費用が必要となる。
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Research Products
(3 results)