2015 Fiscal Year Research-status Report
多発性骨髄腫の“アキレス腱”であるIRF4とMYCの転写制御因子の網羅的探索
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15K18418
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
山本 淳一 東京医科大学, 医学部, 助教 (40748472)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | がん / 多発性骨髄腫 / 磁性ナノ粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 抗体を固定化した磁性ナノ粒子(FG beads)の作製と評価 当研究室で開発されたFG beadsはタンパク質の非特異的な吸着が極めて少なく、タンパク質精製の有用なツールとしてこれまで多くの成果を報告している。しかし、これまでの報告では主にリガンドとして低分子化合物を固定化した例ばかりであり、抗体のような高分子を固定化した場合の実施例は少ない。そこで抗FLAG抗体を固定化したFG beadsを作製し、本研究で対象としている多発性骨髄腫細胞株を用いて、免疫沈降法、クロマチン免疫沈降法により機能評価を行った。その結果、市販の抗FLAG magnetic beadsと比べ、優れたS/N比を示すことが確認できた。 (2) 実験系の確立とサンプル調製 ヌクレアーゼ活性を不活化したタグ融合Cas9タンパク質を発現する多発性骨髄腫株を樹立し、必要な各種予備実験を行った。予備実験の結果を踏まえ、質量分析で解析するラージスケールのサンプル調製を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
抗体固定化FG beadsの機能評価を詳細に行ったため、年度内に因子の同定とまでは至らなかったが、研究そのものは滞りなく進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 速やかに多発性骨髄腫細胞株におけるIMiDsの作用機序に関与する転写因子の網羅的同定を行い、同定された因子群の絞り込みを行う。 (2) 既に行ったトランスクリプトーム解析やCRBNのIMiDs特異的な基質の探索の結果と比較し、詳細な解析を行う転写因子を絞り込む。各因子のIRF4、MYC遺伝子へのリクルートをChIP解析により調べ、IMiDs処理による変動を比較する。また、各因子をノックダウンしてChIP解析を行い、お互いのリクルート関係を調べる。その後の解析は、実際に何が同定されるかによるが、ヒストンの修飾状態やその認識因子のリクルート、RNAポリメラーゼ IIや基本的な転写因子のリクルート、プロモーターとエンハンサーのループ等をChIPや3Cで解析する。IMiDs感受性株と非感受性株やIMiDs間の薬効の違いを説明するモデルを提示できれば成功と言える。 (3)多発性骨髄腫株に共通してIRF4やMYCの発現制御に関与する転写因子を網羅的に同定し、IRF4 や MYCの転写を介した治療標的の網羅的なリストを作製する。候補因子のノックダウンによってIRF4、MYCの発現が低下し、多発性骨髄腫細胞株の増殖が抑制されることの確認までを目標とする。
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