2015 Fiscal Year Research-status Report
新規がん転移抑制法の開発に向けたがん転移促進因子Merm1の解析
Project/Area Number |
15K18419
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Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
竹本 愛 公益財団法人がん研究会, がん化学療法センター 基礎研究部, 研究員 (20706494)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | がん転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、がん転移促進因子として同定されたMerm1/Bud23の核小体でのリボソーム制御機能とがん転移の関係を明らかにし、新規転移抑制法を提案することを目的としている。 ①核小体局在と転移制御の関係: Merm1は一部が核小体に局在する。強い核小体局在シグナルRev-NoLS付加体、核小体局在にも必要な核移行シグナルを部分的に削ったpartial NLS変異体, 全部欠損させたNLS欠損変異体のMerm1を発現させた細胞の作製を進めた。ウィルスにより発現ベクターを細胞へ導入したが、NLS欠損変異体はほぼ発現せず、NoLS付加体は非常に発現レベルが低かった。ウィルス感染の繰り返しと、細胞種の検討などを行い、NoLS付加体については改善した発現細胞を得ることができた。これらを用いて核小体局在と解析を進めている。 ②Merm1によるrRNAメチル化と転移制御の関係: Merm1のメチル化ドメインの解析のために、Merm1高発現細胞株A375Mを用い、Crispr-Cas9系でMerm1-KOの作製を行った。Merm1のKO効率は他の対照因子に比べて非常に低く、片alleleのみのKOと思われる低発現クローンばかりが取れたため、Merm1-KOは細胞増殖への影響が大きいと推察された。A375M親株とMerm1の低発現クローンを使って、rRNAのメチル化へのMerm1の関与を検討した。出芽酵母Bud23のメチル化サイトG1575は、rRNA構造からヒトの18S rRNAのG1639に対応することが予測されたので、逆転写反応とqPCRを利用したメチル化レベルの検討を行った。しかしながら、Merm1低発現細胞においてG1639を含む配列のメチル化に有意な差は見出せなかったが、他のグループから、このサイトのメチル化にMerm1が関与することがノックダウンにより示された(Zorbas C et al. 2015 MBoC)。すでにMerm1による転移促進に対して抑制が見られたA375M細胞を用いたsiRNAによるノックダウンで、このrRNAメチル化が影響されるかは検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
解析に必要な変異体発現細胞の発現が安定しなかったり、KO細胞の作製については増殖への影響が出るなどの問題で時間がかかり、予定した解析まで進めなかったが、次年度で解析まで進むことはできる見通しが立った。バキュロウィルスを用いた発現系で組換え体の発現および精製チェックまでは進めたので、大規模スケールで発現・精製の上、in vitroの解析を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通り、組換え体タンパク質の精製とそれを用いたin vitroアッセイ、Merm1低発現細胞とsiRNAを用いたノックダウン細胞において、PolI阻害剤による核小体ストレスへの感受性への影響を調べる。
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