2015 Fiscal Year Research-status Report
がん由来エクソソームの臓器・組織特異的な局在の検出と転移促進機構の解明
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15K18421
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
西田 奈央 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 外来研究員 (80737114)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | エクソソーム / Cre recombinase / 乳がん |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、がん細胞が分泌する直径100 nmほどの細胞外小胞であるエクソソームの体内挙動を検出し、転移促進機構をエクソソームの生体内の局在の面から明らかにすることである。がん細胞由来のエクソソームの機能を調べるためには、エクソソームを取り込んだ細胞や臓器を検出する上で必須である。今年度は、がん細胞由来のエクソソームの受け渡しを検出する系をin vitroの系で作成した。 検出系としてCre-LoxPシステムを応用し、Cre recombinase発現プラスミドとLoxPを含みCre recombinaseに応答して蛍光タンパク質を発現するレポーターを持つプラスミドを構築した。それらをヒト乳がん細胞株に導入し、レポーター遺伝子の発現を指標にエクソソームの受け渡しを観察した。しかし、現在のところ、エクソソームの受け渡しの検出には成功していない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度としてまず、がん細胞由来のエクソソームの受け渡しを検出する系をin vitroの系で作成した。Cre reconbinaseを発現するプラスミドを構築し、ヒト乳がん細胞株であるMDA-MB-231-D3H2LNに発現させた。この細胞から回収したエクソソーム中には、Cre recombinaseが存在することをwestern blotで確認した。次に、レポーター細胞として、Cre recombinaseが作用するとmTomatoが切り出され下流のGFPが発現する安定発現株を樹立した。同様の細胞株をマウスの乳がん細胞株である4T1でも構築した。レポーター細胞を、Cre recombinaseを含むエクソソームを分泌する細胞と共培養し、エクソソームの検出を試みた。しかし、現在のところ、エクソソームの受け渡しは検出できていない。これは、エクソソームに取り込まれるCreの量が不足するためと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
エクソソーム中にCre recombinaseを取りこませる効率を向上させる機構をつくる。エクソソームの膜タンパク質と相互作用させる形で、Cre recombinaseがエクソソーム中に取り込まれやすくするプラスミドを作成する。Cre recombinaseの導入・発現効率を向上させるようにプラスミドを改変する。 Zomerらにより2015年に開発された、エクソソームの受け渡しの検出方法を試す。タンパク質ではなく、Cre mRNAをエクソソームに取り込ませる方法である。ベクターは入手済みである。
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Causes of Carryover |
実験の進捗が少し遅れているため。 予定のマウスの実験が出来なかったので、その分の研究費が未使用であるのと同時に、その前段階の検討で余分に必要になった試薬類との差し引きで上記の額になった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
エクソソームの系をin vitroで構築後、マウスの実験に移行した際、上記の額が必要となる。
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