2016 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular mechanism of tumour malignancy via exosomes
Project/Area Number |
15K18424
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Research Institution | Kanagawa Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
星野 大輔 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), その他部局等, 副技幹・主任研究員 (30571434)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | エクソソーム / がん / 浸潤 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、浸潤性悪性がんが細胞膜に形成する、組織破壊性の膜構造である浸潤突起から、細胞膜小胞エクソソームが分泌され、これが浸潤活性亢進に寄与することを見出している。本研究では、細胞生物学的手法、プロテオミクス手法および数理モデリング手法を組み合わせて、がん悪性化を駆動するエクソソームの構成分子の網羅的同定とこのエクソソームにより活性化されるがん悪性化分子の相互作用ネットワークの可視化をすることで、がん悪性化機構を統合的に理解することを目的として以下の研究を行った。 (1)悪性化段階の異なるがん細胞および正常細胞株を用いて、エクソソームによるがん悪性化における、エクソソーム分泌細胞とエクソソーム受容細胞のそれぞれの悪性度がどのような関係にあるかを、明らかにした。 (2)がんの浸潤性を亢進させるエクソソームに特異的な構成タンパク質とそのエクソソームを受容したがん細胞内で亢進するシグナル伝達経路を明らかにした。 (3)(2)で得られた情報を元に数理モデルを構築した。 本研究の学術的特色は、細胞生物学的手法、プロテオミクス手法および数理学モデリング手法を組み合わせて、がん悪性化の分子機構に迫ろうとする点にある。その独創性は、浸潤突起とエクソソームという二種類のがん悪性化機構の間に存在することが疑われる、未解明な協調的あるいは相乗的相互作用に着目して、その詳細を明らかにしようとする点にある。本研究で得られた成果は、新しいがん治療法の分子基盤の構築に貢献する事から医学的・社会的意義が高く、また数理学と生物学の融合分野の発展にも寄与することから、基礎学術面への波及効果も高いと考えられる。
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