2018 Fiscal Year Annual Research Report
Trends in Cancer Incidence in Japan: Association with Complete Coverage of Incident Cancer Cases by Population-based Cancer Registries.
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15K18425
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
堀 芽久美 国立研究開発法人国立がん研究センター, がん対策情報センター, 研究員 (20735732)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | がん罹患推移 / がん登録 |
Outline of Annual Research Achievements |
地域がん登録を用いてがん罹患推移を検討する場合、罹患数は登録率(対象集団で発生したすべてのがんのうち、実際に登録されたがんの割合)に影響を受けるため、登録率の変動の影響を調整する必要がある。本研究では、登録率の変動が大きい栃木県のデータを用いて罹患推移の解析を行った。また、より人口規模の大きい愛知県のデータ利用を申請を行い、1990年以降の登録データを収集した。 罹患数(補正前)は2002年から2012年まで一貫して増加していた。その期間の登録率は2006年頃までは55%~65%で、2008年頃から約70%であった。届出施設種別の届出数をみると、2008年の届出大幅増加の大半を拠点病院が占めた。罹患数において拠点病院の整備における届出数の増加が罹患数の増加傾向や増加の時期に影響を与えていた。 2005年診断例頃までは2年、2006年診断例頃から3年で届出が収束しており、2008年から前年診断例の届出票が多く、2年前の診断例の登録票が多かった。これらは診断から届出までの間隔に年による違いがあることを示し、年次推移に影響を与える要因の1つであった。 補正前の登録率を用いて登録率補正罹患数を推計すると、登録率は2007-2008年にかけて著しく上昇、2009年以降は緩やかに上昇していた。2002年以降の一貫した罹患数の増加は2006年以降の登録率の向上の影響が大きい。登録率が一定であった場合に、2010年前後からの罹患数の増加傾向は大きくない。 今後、数理モデルおよびシミュレーションモデルの利用によって罹患数の推移における登録率および生活習慣要因(喫煙、多量飲酒、肥満など)の影響の分配を行う。今後の課題として、対象地域によって異なるモデルを作成する必要があるのか検討する必要がある。登録率変動の少ない山形県や福井県でも同様の解析を行い、結果を日本全体に適用できるか評価することが重要である。
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