2015 Fiscal Year Research-status Report
乳癌浸潤の超早期診断を目的とした次世代形態情報ビッグデータの解析
Project/Area Number |
15K18428
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
山本 陽一朗 信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (00573247)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 乳癌 / ビッグデータ / Digital pathology |
Outline of Annual Research Achievements |
乳癌は浸潤の有無で予後および治療方針が大きく異なる。例えば乳癌患者全体の本邦における死亡率は約20%であるが、DCISに限定すると死亡率は2%以下となっている。しかし術前予測は難しく、術前に浸潤無し(DCIS)と診断されたにも拘わらず術後に浸潤部が判明し、診断が変わる例は珍しくないため、患者および医療従事者双方にとって大きな問題となっている。本研究では病理標本上数万の細胞について形態特徴量を網羅的に測定し、形態情報ビッグデータを抽出する。そしていわば「形態情報のマイクロアレイ」作成・解析し、乳癌浸潤の超早期診断法開発を目指す。 初年度は、乳腺の筋上皮細胞核に対して「形態情報マイクロアレイ」を行うためのシステムの開発および調整を行った。デジタル化した病理標本(バーチャルスライド)の筋上皮細胞核全てに対し各々30項目以上の形態特徴量を抽出し、その特徴量に対しサポートベクターマシンを用いて分類する一連のプログラムを完成させた。解析後のアウトプットに3D表示を加えることによって、結果表示の視認性を飛躍的に向上させることができた。さらに当初の計画以上にプログラム開発が順調に進んだため、一部にDeep Learningを組み込んだ分類システムのプロトタイプ開発も行った。 筋上皮細胞については濃度の異なるp63免疫染色の比較を行うことにより、画像解析に最適な濃度を見出すことを成功した。 またこれらプログラム開発と並行して解析症例のデータベース化およびバーチャルスライド化を行い、術前針生検および術後の組織標本のピックアップが完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度の到達目標である、①「形態情報マイクロアレイ」を行うためのシステムの開発および調整、②症例のデータベース化が完了した。さらに当初の計画には含まれていなかったDeep Learningを一部取り込んだプロトタイプのシステムも作成することができた。計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度については、データーベース化された症例に対し、初年度に開発したシステムを用いて解析を進める。作成したバーチャルスライドの中には、染色性が不安定なスライドも含まれているため、適時、調整を行いながら解析していく予定である。
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Causes of Carryover |
当初の計画以上に進展しているが、物品に係る費用の効率的使用に努めた結果、予想以上の効果があり安価におさまったため若干の未使用が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H28年度請求額をあわせて次年度の物品費の一部として用いる。
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