2015 Fiscal Year Research-status Report
悪性末梢神経鞘腫に対する新規治療薬(デプシペプチド類縁体)の開発
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15K18436
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西條 憲 東北大学, 大学病院, 助教 (70636729)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 悪性末梢神経鞘腫 / 軟部肉腫 / HDAC / PI3K / 創薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、HDAC/PI3K 2重阻害作用を有するデプシペプチド類縁体FK-11の悪性末梢神経鞘腫(MPNST)に対するin vitro, in vivoでの殺細胞効果と抗腫瘍効果を検証する。本研究により非臨床試験としての薬効が確認できれば、今後、難治性で予後不良なMPNSTに対するHDAC/PI3K dual inhibitorという新しい画期的な薬剤の開発につながるものと考えられる。H27年度は以下の研究を行った。1.in vitro殺細胞効果の評価:ヒトMPNST細胞株のうちNF1 MPNST細胞株3種(SNF02.2、SNF96.2、S462)を用いて、MTTアッセイを施行した。FK-A11の殺細胞効果を評価したところ、SNF96.2、S462においてFK-A11の殺細胞効果を確認した。しかし、SNF02.2は細胞増殖速度が著しく遅く、MTTアッセイに不適と判断した。2.in vitroでの作用機序の解析 S462細胞をFK-A11を含む培養液で培養後、Western blottingによりその作用機序を解析を行った。PI3K阻害の指標としてリン酸化AKTが抑制され、HDAC阻害の指標としてヒストンのアセチル化が増加することを確認した。3.in vivo抗腫瘍効果の評価に備えて、ヌードマウスへの細胞生着および腫瘤形成の確認を行ったが、S462細胞では腫瘤の形成を認めなかった。MPNST細胞株については、H28年4月に新たに4種を入手予定であり、殺細胞効果の評価から、抗腫瘍効果の評価へ移行できる細胞株を用いて、研究を継続する。H27年度は、FK-A11のMPNSTに対する殺細胞効果、およびその作用機序のproof of conceptを取得し得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vitroでの殺細胞効果およびその作用機序解析を予定どおり施行し得た。細胞株を増やして、同じ過程を踏み、H28年度は予定どおりin vivoの抗腫瘍効果の評価に移行できるものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
in vivoでの実験に備え、年度初頭より新しいMPNST細胞株で、マウスへの生着を確認する。この度入手する新たな4種のMPNST細胞はいずれも文献的には、ヌードマウにおける腫瘤形成が確認されている。また、in vivoの抗腫瘍効果の評価については、FK-A11は、ほかの軟部肉腫細胞(繊維肉腫)やヒト前立腺癌細胞に対する抗腫瘍効果をすでに実証しており、その投与法、投与量に従い、速やかに研究の実施が可能と考えられる。
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Causes of Carryover |
使用した細胞株について、無償にて供与をうけたこと、またin vivoの抗腫瘍効果の予備実験で用いるマウスも、他の研究で不要となったマウスを用いるなどの流用ができたことに由来する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今回細胞株を増やしての実験を計画し、細胞株の購入費用ならびに本格的なin vivo抗腫瘍効果評価のための、動物の購入費に充てる。
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