2016 Fiscal Year Research-status Report
Notch/Sox9シグナル阻害剤による膵癌の新規分子標的療法の開発
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15K18439
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
賀川 真吾 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (90507302)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Sox9と癌幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
膵癌におけるSox9の機能につき、抗がん剤耐性、特にCancer stem cellとの関連を膵癌細胞株を用いて解析してきた。in vitroの実験により、①Sox9の高発現膵癌細胞株では抗がん剤耐性を示し、Sox9のノックダウンにより抗がん剤への感受性が回復すること、②Sox9の高発現膵癌細胞株ではsphere形成能が高く、Sox9のノックダウンによりsphere形成能は減弱すること、さらに③Sox9高発現株でのCD44high,CD24highのstem cellマーカー発現はSox9woノックダウンすることにより減少することを示してきた。 そこで本年度は癌幹細胞の性質の一つである腫瘍形成能につきヌードマウスにおける皮下腫瘍モデルを用いてSox9との関連につき解析した。 膵癌細胞株のPANC-1は以前の実験結果よりSox9高発現膵癌細胞株であることが示されているが、これをヌードマウスの脇腹に接種することによる腫瘍形成能を検討した。これにより約62.5%の腫瘍形成率であることが確認できたが、shRNAによりSox9を抑制したPANC-1細胞ではその腫瘍形成能が減弱することが確かめられた。本実験によりin vivoの実験系においてもSox9が癌幹細胞の維持に重要な働きを持っていることを示した。 Sox9は膵の発生段階で多分化能を有する膵原基細胞に発現する転写因子であるが、本研究で得られた抗がん剤耐性因子という観点から膵癌治療への応用として、生体内で如何にSox9をコントロールしていくかが課題であり、その制御機構として他Notchシグナルに注目していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Sox9の抗がん剤耐性機構につきin vitroの実験系においてcancer stem cellの観点から示してきたが、本年度は in vivoの実験系においてもSox9の腫瘍形成能との関連を証明することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はSox9を如何に生体内でコントロールするかにつき検討を重ねる必要があり、現時点ではNotchシグナルの制御によりSox9がコントロールできるのではないかとの仮説のもと研究をするめていく予定である。
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