2015 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍の低免疫原性獲得機構の解明とそれを標的としたがん治療戦略の開発
Project/Area Number |
15K18443
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
村岡 大輔 静岡県立大学, 薬学部, 助教 (20608955)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 変異抗原 / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、腫瘍が低免疫原性になる機構について検討した。我々はCMS5a腫瘍モデルではCT26腫瘍モデルに比して既知抗原(CT26:gp70由来AH-1、CMS5a:mERK2由来9m)に対する細胞性免疫応答が誘導されない事を明らかにしている。そこで、各腫瘍の次世代シークエンスデータを用い新規新生抗原に対する細胞性免疫誘導について検討した。その結果、CT26およびCMS7では新規新生抗原に対する細胞性免疫応答が確認されたのに対し、CMS5aでは観察されなかった。また、興味深い事に、抗免疫チェックポイント阻害療法に対する感受性もCMS5a腫瘍モデルでは著しく低い事が明らかになった。次に我々は、各腫瘍モデルの腫瘍局所の情報を収集すべく、網羅的遺伝子解析をおこなった。野生型マウスに各腫瘍を皮下移植し、1週間後に腫瘍を回収しマイクロアレイ解析を行った。その結果、CT26およびCMS7腫瘍モデルに比較して、CMS5a腫瘍モデルでは、腫瘍局所における炎症性サイトカインなどの遺伝子群の発現が著しく低いことが明らかになった。さらに、当網羅的遺伝子解析データを基盤に、腫瘍局所マクロファージに注目し検討を行い、CMS5a腫瘍モデルの局所マクロファージは未成熟であることを明らかにした。以上より、CMS5a腫瘍モデルは免疫原性の高い抗原を有さないことで、低免疫原性状態(腫瘍局所の非炎症状態、免疫チェックポイント阻害療法不応答性)になっている可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、腫瘍の低免疫原性獲得機構に焦点を当て、腫瘍の有する変異抗原の免疫原性が腫瘍の免疫原性を規定している可能性を示した。これらの知見は低免疫原性腫瘍の治療法の確立という本研究課題の目標に有用であり、有意義な成果が得られたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
腫瘍の有する抗原の免疫原性および腫瘍局所の炎症反応に焦点を当て、低免疫原性腫瘍の治療法の確立を目指す。
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Causes of Carryover |
2016年1月1日付で三重大学より静岡県立大学に異動になった為、差引額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
移動に伴う実験系のセットアップの為に、消耗品などの購入を行う。
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Research Products
(1 results)