2016 Fiscal Year Research-status Report
セマフォリンシグナルの阻害が導くがん治療の新たな展望
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15K18449
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Research Institution | Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences |
Principal Investigator |
山田 大祐 新潟薬科大学, 薬学部, 助手 (50733680)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | セマフォリン3A / がん幹細胞 / 肺がん |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はセマフォリン3Aシグナルによる腫瘍発症メカニズムに焦点をおいて研究を行った。その結果、セマフォリン3AはmTORC1を活性化することで肺がん細胞の代謝及び増殖性を制御すること(Yamada D et al., BBRC., 2016)、そして肺がん幹細胞の腫瘍原性能及び自己複製能の維持に必須であること(Yamada D et al., BBRC., 2016)を明らかにした。また、セマフォリン3Aの受容体にはプレキシンA1-A4の4種類が存在しているが、その中でもプレキシンA1を介したシグナルが重要であることも明らかにした(Yamada D et al., BBRC., 2016)。さらに、セマフォリン3A/プレキシンA1シグナルは、上皮細胞成長因子受容体(EGFR)阻害剤への抵抗性の獲得に寄与すること(Yamada et al., BBRC., 2016)も明らかにした。以上の結果から、セマフォリン3A/プレキシンA1シグナルの阻害は、肺がん並びにそれに付随して生じる転移腫瘍の有効な治療手段になりうると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
セマフォリン3Aの標的分子としてmTORC1を同定しただけでなく、肺がん幹細胞の標的分子になりうることを明らかにできた。セマフォリン3Aの阻害剤を用いた実験に関してはまだ着手できていないが、当初の仮説に近い結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、セマフォリン3Aシグナルと他のセマフォリンシグナルとのクロストークの解析を行っている。その結果、候補となるセマフォリン分子が同定されたことから、次年度は詳細なクロストークの制御機構を解析していく予定である。
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Causes of Carryover |
前年度に購入した試薬を優先して使用したこともあるが、共同研究者からの提供もあり結果的に余剰金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
申請者は次年度から現所属機関である新潟薬科大学から岡山大学への異動が決定している。そこで異動後の所属機関で試薬等を新規に準備する必要があり、それらの購入に今年度の余剰金を使用する予定である。
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