2015 Fiscal Year Annual Research Report
肺癌における薬剤耐性因子のheterogenietyとその克服
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15K18450
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
須田 健一 近畿大学, 医学部, 助教 (30631593)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | heterogeniety / バイオマーカー / 肺癌 / 薬剤感受性 / 免疫チェックポイント / 獲得耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
【1】薬剤感受性バイオマーカーのheterogeneityに関する検討 2014年3月までに、高齢や重度の並存疾患などにより化学療法(分子標的治療含む)が施行されなかった未治療肺癌剖検例7名を対象に解析をおこなった。各患者の原発巣・転移巣について、抗PD-1/抗PD-L1抗体による免疫治療の効果予測因子と考えられているPD-L1発現を、免疫化学染色法にて検討した。7名中1名がEGFR遺伝子変異陽性であった。同一患者内の各転移巣のPD-L1発現にheterogeneityは認めなかった。この結果より、抗PD-1/抗PD-L1抗体による免疫治療に際しては、どの部位(原発巣・転移巣)より生検をおこなっても、同等のPD-L1発現の結果が得られると考えられた。 【2】キナーゼ阻害剤獲得耐性機序のheterogeneityに関する検討とその克服 EGFRキナーゼ阻害剤治療に対し上皮観葉転換(EMT)による獲得耐性を生じることがしばしば報告されているHCC4006細胞株を用いて検討をおこなった。EMTを生じた細胞株に対する有効性が示されているdasatinibを、EGFRキナーゼ阻害剤(erlotinib)と併用し、HCC4006細胞株より併用療法の耐性株を作成した。約4ヶ月で耐性株が樹立でき、EMTによる獲得耐性は生じないことを確認した。併用療法による耐性機序はEGFRのT790M 2次的変異であった。この結果より、dasatinib併用により、より治療が難しいEMTではなく、第3世代EGFR阻害剤で治療可能なT790Mへ耐性機序を誘導できる可能性が示された。
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