2015 Fiscal Year Research-status Report
ALK阻害剤に対する耐性機序の網羅的解析と耐性克服の治療戦略の確立
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15K18452
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
豊川 剛二 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30627261)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ALK融合遺伝子 / ALK阻害剤 / 耐性獲得機序 |
Outline of Annual Research Achievements |
ALK融合遺伝子は2007年にわが国で発見された肺癌のoncogeneであり、非小細胞肺癌の約5%の頻度である。ALK融合遺伝子を有する症例にはcrizotinib、alectinibやceritinibなどのALK阻害剤が著効することが知られている。しかしながら、多くの症例で耐性獲得が問題となっており、耐性獲得機序の解明とその克服が喫緊の課題である。これまでに、我々はALK阻害剤に対して耐性を獲得した症例に対して再生検を行い、耐性獲得機序の解明と耐性獲得後の治療戦略について検討した。新たなALK遺伝子の二次変異としてI1171T、I1171N、およびG1123Sが、crizotinib、alectinib、およびceritinibに対して耐性を惹起することが明らかになった。この結果はあるALK阻害剤に耐性獲得後に次のALK阻害剤を選択するうえで重要な情報であると考えられる。Ceritinib耐性を惹起するG1123Sはalectinibによって耐性克服可能なことは、新たなALK阻害剤のsequenceを考えるうえで重要な知見である。また、特記すべきことに、alectinib に対する耐性獲得後の肝生検の結果、MET遺伝子増幅が見られた。元来、c-MET阻害剤として開発されたcrizotinibが著効したことを考慮すると、MET遺伝子増幅がalectinib に対する耐性獲得に関与しているものと考えられる。また、最近の報告ではHGF/MET経路の活性化がalectinib耐性を惹起することを裏付ける基礎データが得られている。これは、新たなalectinib耐性獲得機序を示すだけでなく、第二世代ALK阻害剤であるalectinib投与後にもcrizotinibを投与する意義がある可能性を示した点で、非常に重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに3つの新たなALK阻害剤に対する耐性機序を解明しており、論文発表も行っているため。
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Strategy for Future Research Activity |
包括同意が得られているALK融合遺伝子陽性肺癌患者のALK阻害剤投与前後の新鮮腫瘍組織から肺癌細胞株樹立を試みる。これらの細胞株を用いて、上記解析によって同定された耐性機序のconfirmを行う。さらに、各々の耐性機序を克服すると考えられる阻害剤やsiRNAなどをin vitroで投与することにより、効果的な耐性克服の方法を開発する。
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