2016 Fiscal Year Research-status Report
モンゴルのユキヒョウ保全に向けた集団遺伝構造とその形成要因の解明
Project/Area Number |
15K18471
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
杉本 太郎 鳥取大学, 乾燥地研究センター, プロジェクト研究員 (20570493)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | モンゴル / ユキヒョウ / 糞DNA / 遺伝構造 / 保全 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はモンゴル西部アルタイ山脈に生息するユキヒョウの集団遺伝構造を解明し、個体群間の連結性維持を目指した保全対策の提言を目的としている。 今年度は糞試料の収集とDNA解析を中心に行った。8月から9月にかけてバータル山とツルゲン山の2か所でサンプリングを実施し、約200個の試料を採集した。バータル山では多くの遊牧民やレンジャーに参加してもらい、昨年度以上の数の試料を集めることができた。 糞DNA抽出を行い、種判別を実施した。塩基配列に基づく判定方法ではなく特異的マーカーを用いることで、迅速に種判別が可能になった。またユキヒョウで増幅が確認されている性染色体のAMELY遺伝子の一部を増やすマーカーを用いて性判別を実施した。 個体識別に向けて、マイクロサテライトマーカーを用いたマルチプレックスPCR条件の最適化を行った。一部のマイクロサテライトマーカーでは糞抽出DNAに対して増幅が確認されていたが、迅速に多量の試料を解析するためにはマルチプレックスPCRが有効である。ユキヒョウなどネコ科動物で増幅が確認されている約20個のマーカーを候補とし、増幅の成功率、フラグメント解析時の波形、対立遺伝子の多様性などを基に候補を絞った。モンゴル西部のユキヒョウ集団の遺伝的多様性については現在解析を進めているが、ジャルガラント山で採集した試料の分析結果では、対立遺伝子の種類は多く、個体識別に必要な精度を確保することが可能であることを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
試料採集は順調に進んでいるが、個体識別の実験条件の最適化がやや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
個体識別の実験条件の最適化を行い、採集した試料の分析を進める。遺伝的多様性や集団遺伝構造を解明し、遺伝構造の形成に寄与する要因を明らかにする。得られたデータを整理し、保全対策の提言をまとめる。
|
Causes of Carryover |
現地の積雪の状況を判断し、次年度の春にサンプリングを延期したため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
サンプリングを実施し、全ての試料の分析を進める。
|
Research Products
(1 results)