2017 Fiscal Year Annual Research Report
Revealing the genetic structure and its underlying causes of snow leopard populations in Mongolia
Project/Area Number |
15K18471
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
杉本 太郎 鳥取大学, 乾燥地研究センター, プロジェクト研究員 (20570493)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 保全生物 / 集団遺伝構造 / ユキヒョウ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はモンゴル西部アルタイ山脈に生息するユキヒョウの集団遺伝構造を解明し、個体群間の連結性維持を目指した保全対策の提言を目的としている。 西部山岳地帯の7か所のユキヒョウ生息地から試料を採集し、全ての試料に対して糞DNA解析を行った。個体識別は多様性の高い8つのマイクロサテライトマーカーを用いる方法を確立した。また個体識別で得られたデータを用いて、標識再捕獲法から各地域の生息数を推定することに成功した。個体識別の成功率は、季節にかかわらず約80%と高く、山岳地帯の乾燥や低温環境が糞の劣化を防いでいると考えられる。 集団遺伝構造解析を実施したところ、地域間の遺伝的分化の程度は低いことが分かった。地域固有の対立遺伝子は3個と少なく、7個体以上識別された4地域の間では、対立遺伝子数やヘテロ接合度に有意な差は見られなかった。クラスタリング解析では2つの遺伝的クラスターが検出されたが、同じ地域内に各クラスターに帰属する個体が存在しており、明瞭にクラスターが分かれることは無かった。 モンゴル西部山岳地帯では、遺伝的障壁となりうる道路が生息地を分断しているが、低い遺伝的分化や中程度の遺伝的多様性を考慮すると、生息地間で遺伝子交流が維持されていることが示唆された。しかし西部地域の道路の多くは近年舗装が進んでおり、また鉱山開発も活発になっていることから、今後も生息地の連結性を維持できるかが課題である。本研究は、観察が困難なユキヒョウの研究に糞試料を使ったアプローチが有効であることを示した。研究が遅れている他の中央アジアの生息地でも応用が期待できる。
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Research Products
(2 results)