2016 Fiscal Year Annual Research Report
Loss of phylogenetic diversity and change of phylogenetic community structure by tropical deforestation
Project/Area Number |
15K18472
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
遠山 弘法 九州大学, 理学研究院, 学術研究員 (00571837)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 伐採 / 系統的多様性 / 系統的群集構造 / 熱帯林 / 種同定 / 新種記載 / カンボジア |
Outline of Annual Research Achievements |
過去数十年という短いタイムスケールで行われた熱帯林伐採は, 数億年という長い進化的な歴史を背景に形成された植物多様性の急速な消失を引き起こし、植物群集の構造を変化させる。本研究では、伐採が著しいカンボジアで進化時間スケールを考慮に入れた生物多様性の評価を行い、今後カンボジアで生物多様性の維持・回復に向けてどのような方法が有効かを示唆することを目的とした。 本年度は、プロットデータ整理、系統解析、種同定、群集系統解析を行った。プロットデータとして、カンポントム州(1600本)、ココン州(1347本)、シムリアップ州(849本)、ラタナキリ州(817本)、クラティエ州(667本)の1998年から2010年にかけて行われた毎木調査データを集積した。系統解析は、1088個体のrbcL配列(matKはアライメント中)を用いベイズ法により行った。種同定についてはカンポントム州、ココン州、クラティエ州について概ね終了し、シムリアップ州、ラタナキリ州については終了しなかった。種同定の中、他の地域で新種を見つけたので記載を行った。群集系統解析は、先行研究を行ったカンポントム州とは異なり、伐採が少なく、かつプロット樹木の本数が2番目に多い地域であるココン州に焦点を当てて、本年度は行った。 結果、ココン州では、1本の伐採はプロット(0.25ha)から系統的多様性を2300万年分減少させた (p=0.003)。また、1本の枯死は、1400万年年分減少させ(p=0.001)、1本の新規加入は2000万年分増加させた(p<0.001)。系統的群集構造に対しては伐採、枯死、新規加入とも有意な効果を示さなかった。 先行研究を行ったコンポントム州と比較すると、系統的多様性の変化量には大きな違いがないようであった。今後、他の地域と合わせて解析を行うことで、傾向が一般的かどうかを議論する。
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Research Products
(25 results)