2015 Fiscal Year Research-status Report
オートファジーによって分解されるミトコンドリアの形態制御機構の解明
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15K18501
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
山下 俊一 新潟大学, 医歯学系, 助教 (30529095)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マイトファジー / ミトコンドリア分裂 / Drp1 / オートファゴソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
ミトコンドリアは、融合と分裂を繰り返すことで、自身の機能を制御している。特に、機能不全に陥ったミトコンドリアは、ミトコンドリアオートファジー(以下、マイトファジー)によって選択的に分解されることが知られているが、その時機能不全ミトコンドリアの一部が、ミトコンドリアネットワークから分裂によって切り離されて、分解されると考えられている。よって、ミトコンドリア分裂必須因子であるDrp1の欠損細胞では、マイトファジーが阻害されることが報告されてきた。しかし、申請者らが行った、高感度マイトファジー検出実験において、Drp1 KOマウス由来細胞においても、マイトファジーが検出されることが分かっていた。そこで、本研究では、マイトファジー時に、ミトコンドリアがどのようにして分裂しているのかを明らかにすることを目的とした。平成27年度は、HeLa細胞において、Drp1 KO細胞をCRISPR-Cas9システムで樹立し、申請者らが既に報告している高感度マイトファジー検出系であるmito-Keima発現細胞をさらに樹立した。Drp1以外の分裂因子についてもKO HeLa細胞を樹立し、同様にmito-Keimaでマイトファジーを解析した。その結果、低酸素、鉄キレート剤処理で誘導されるマイトファジーのどちらもが野生型の細胞と同様にKO細胞でも見られた。さらに、Drp1欠損HeLa細胞を用いた電子顕微鏡解析によって、マイトファジー時には、Drp1 KO細胞においても、オートファゴソームに包み込まれている。小さく分裂したミトコンドリアが観察された。このことから、マイトファジー時には、Drp1などのミトコンドリア分裂因子に依存しない、新規の分裂機構が存在することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度に予定している研究計画を全て行うことができた。また、その成果をまとめた論文を作成し投稿している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに、ミトコンドリア分裂必須因子Drp1非依存的に、ミトコンドリアが断片化し、オートファゴソームに包み込まれ、分解されることを明らかにしてきた。今後の課題は、Drp1非依存的ミトコンドリア分裂の分子機構の解明である。ミトコンドリアの分裂と、オートファゴソーム形成は時空間的に同期しており、両者の関係を形態学的に解析する予定である。また、必須因子を同定するために、カスタムsiRNAライブラリーを用いた新規分裂因子の探索を行うことで分子機構を明らかにする。
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Causes of Carryover |
CRISPR-Cas9システムを用いたノックアウト細胞の樹立時に、研究協力者からの細胞の供与を受けることができ、それらの細胞の樹立にかかる予定としていた費用が、次年度使用額として生じた。また、学会発表において、A3フォーサイトプログラム支援による参加があったことも、理由の一つである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度計画している、カスタムsiRNAライブラリーを用いた実験のスケールアップに使用する。さらに、現在投稿中の論文の研究内容について、当該研究分野の研究者が参加する、国際学会で研究発表する予定である。
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