2015 Fiscal Year Research-status Report
異なる2種類の先天性疾患で発見されたNotch1変異体の分子機能異常の解析
Project/Area Number |
15K18502
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小川 光貴 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (70727429)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Notch / O-GlcNAc / 先天性疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
Notch シグナルは、細胞間コミュニケーションを司る主要なシグナル伝達経路であり、発生過程における多彩な細胞運命の決定プロセスに関与する。申請者は、Notch 受容体上におこる細胞外 O-GlcNAc 修飾の欠損が先天性疾患アダムズ-オリバー症候群 (AOS) の原因であることを明らかにした[Ogawa et al., JBC. 2015]。2014年8月にAOS の原因遺伝子として NOTCH1 が報告されたが、変異により Notch 受容体のどの分子機能が異常になるかは不明である。本研究は、AOS 変異と他の疾患で報告されている NOTCH1 変異の分子機能異常と比較することで、生体における厳密な Notch シグナルの制御が、いつ、どの組織で、どのような機能を持つかを明らかにすることを目的とした。 本年度は、2種類の先天性疾患で発見された NOTCH1 遺伝子変異体の分子機能異常を明らかにする為に、哺乳類発現用ベクターであるpTracer/mouseNotch1を元にNotch1の遺伝子変異体を作製した。しかしながら、内在性のNotch1が検出される為に、過剰発現したNotch1の解析が困難であった。そこで、N末端にFLAGタグを、C末端にMycタグを導入したpTracer/FLAG-mouseNotch1-Mycを作製し、検出系を確立した。また、AOSの患者から新規のNotch1の点変異が報告された。よって、当初の計画に加えて、合計11個のNotch1の遺伝子変異体を作製した。そして、これらの遺伝子変異体の局在性やタンパク質の安定性、Notch1上の糖鎖修飾の変化を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、AOSで発見されたNotch1変異体の作製と分子機能異常の解析が、おおむね順調に進行した。本年度の研究計画をもとに、次年度以降の研究発展が大いに期待できる為。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度、AOSの原因遺伝子としてNotch1受容体のリガンドであるDll4も報告された。当初の研究計画に加えて、Dll4の遺伝子変異体も解析対象として加えることとした。今年度の研究成果に基づき、Notch1遺伝子変異体がリガンドとの結合性やNotchシグナルに異常を示すことが想定できる。従って、下記の方法に従い、これらの可能性を検証する。 a) NOTCH1 遺伝子変異体の Notch シグナルへの影響;両疾患で発見された Notch1 の変異体が Notch シグナルに与える影響を解析する。Notch シグナルに応答するレポーター(HES1-Luc や pGa981-6)及び、Notch1 遺伝子変異体と野生型を HEK293T 細胞に一過性発現した際のプロモーター活性を解析する。その際、Notch1 のリガンドである Jag1 や Dll4 で Notch1 受容体を刺激する。 b) NOTCH1 遺伝子変異体のリガンド結合性への影響;Notch1 のリガンドである Jag1 や Dll4 とNotch1 変異体との結合性を解析する。各 Notch1 遺伝子変異体と野生型を一過性発現した HEK293T 細胞に、Fc-Jag1 や Fc-Dll4 を反応させ、抗 Fc 抗体による FACS 解析により結合性を解析する。
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[Presentation] 脳血管における細胞外 O-GlcNAc 修飾の生物学的意義2015
Author(s)
Mitsutaka Ogawa, Shogo Sawaguchi, Pawel Bieniasz-Krzywiec, Hirokazu Yagi, Koichi Kato, Jiro Usukura, Koichi Furukawa, Tetsuya Okajima
Organizer
平成27年度神経糖鎖生物学 夏の班会議
Place of Presentation
とりぎん文化会館(鳥取県鳥取市)
Year and Date
2015-06-25 – 2015-06-28
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