2015 Fiscal Year Research-status Report
生物種間相互作用におけるガレクチン-GalFucユニット間相互作用の役割
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15K18506
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Research Institution | Josai University |
Principal Investigator |
武内 智春 城西大学, 薬学部, 助教 (90439563)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ガレクチン / 糖鎖 / 線虫 / 寄生虫 / Galactoseβ1-4Fucose / 種間相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
寄生性線虫の感染者は全世界で10億人超であり、深刻な問題となっています。しかし、寄生性線虫と宿主との相互作用には未解明な点が多く残されています。研究代表者はヒトやマウスのガレクチンが、寄生性線虫などの前口動物においてのみ発見されているGalactoseβ1-4Fucose(GalFuc)二糖ユニットと相互作用すること、また、この相互作用を介して寄生性線虫に対する生体防御因子として働く可能性があること、などをすでに報告しています。本研究では、寄生性線虫のモデルとして主に線虫C. elegansを用い、ガレクチンが線虫に与える影響の詳細を明らかにし、それにより、GalFucを介したガレクチン-(寄生性)線虫間相互作用の知的基盤を確立することを目的としています。 これまでに、寄生性線虫の主な感染部位として知られる腸管に多く発現しているガレクチン-2が線虫に与える影響を調べ、ガレクチン-2添加により線虫の生育が阻害されること、また、ガレクチン-2がGalFucを含む線虫内在性N結合型糖鎖に強く結合することを明らかにしました。現在、GalFuc結合能を失うと考えられるガレクチン-2変異体を用いて、それが線虫に与える影響などを解析中です。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、ガレクチン(特にガレクチン-2)が、寄生性線虫モデルとしての線虫C. elegansに与える影響やガレクチン-2と寄生性線虫A. suumとの相互作用について調べる予定です。一年目には、「1.ガレクチンとGalFucを含む線虫C. elegans内在性糖鎖の相互作用の解析」「2.ガレクチンが線虫C. elegansの成長などに与える影響の検証」「3.ガレクチン-2と線虫C. elegansの相互作用におけるGalFucの役割の検証」を行う予定でした。実際には項目1と2を並行して行いました。項目2について、主要なマウスガレクチンのリコンビナントタンパク質発現大腸菌を作製し、それらを線虫に摂食させ、影響を調べましたが、リコンビナントタンパク質の発現量が安定しないためか、結果が明瞭ではありませんでした。そこで、線虫を液体培地中で飼育し、そこにリコンビナントタンパク質を添加することで、つまり、タンパク質濃度をコントロールできる条件で、ガレクチン-2が線虫の成長に与える影響を調べました。その結果、ガレクチン-2が線虫の成長を抑制することが明らかになりました。ガレクチン-2については項目1も完了済みで、ガレクチン-2がGalFucを含む線虫糖鎖と相互作用することを明らかにしております。また、ガレクチン-2は、そのGlu52を介して、GalFucと相互作用すると考えられますので、それに変異を導入したコンビナントタンパク質(mGal-2E52Q)を調製しました。現在、mGal-2E52Qと線虫糖鎖との相互作用やmGal-2E52Qが線虫の成長に与える影響について調べることで、項目3の「ガレクチン-2と線虫C. elegansの相互作用におけるGalFucの役割の検証」を行っています。トラブルもあり、全体として若干の遅れはあるものの、概ね順調に進展していると考えています。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、全体として若干の遅れはあるものの、概ね順調に進展していると考えております。これまでにガレクチン-2がGalFucを含む線虫糖鎖に結合すること、線虫の成長を抑制することが明らかになっています。今後は、まず、GalFucに結合しないガレクチン-2変異体などを用いることで、ガレクチン-2による線虫の成長阻害におけるGalFucの役割について検証します。その後、本研究の申請時の予定通り、線虫C. elegansにおけるガレクチン-2結合糖鎖および糖タンパク質の同定、寄生性線虫A. suumにおけるガレクチン-2結合糖鎖および糖タンパク質の同定、および、ガレクチン-2がlec-6欠失線虫の成長などに与える影響の検証を行う予定です。なお、現時点では、ガレクチン-2以外の他のガレクチンが線虫に与える影響について調べることが出来ておりませんが、それについても、可能であれば、検証する予定です。
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Causes of Carryover |
本研究は、概ね順調に進展しております。しかし、実験系の試行錯誤のため、元々、一年目に二年目以降の実験の予備実験を行っておく予定でしたが、それが十分にできませんでした。そのため、若干の次年度使用額が生じました。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の通り、生じた次年度使用額は、元々二年目以降の研究の予備実験を行うための経費です。そのため、二年目に頂く助成金と合わせ、今後の研究に使用する予定です。
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