2017 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of molecular mechanism of cell protective function of Derlin-3
Project/Area Number |
15K18510
|
Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
樋口 由佳 (江浦由佳) 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 研究員 (30443477)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | ERAD / 小胞体関連分解 / Derlin-3 |
Outline of Annual Research Achievements |
小胞体は、分泌タンパク質や膜タンパク質の合成と成熟を担っており、その過程では酸化ストレスや遺伝子異常、低酸素状態などさまざまな理由で成熟できない不良品が生じる。小胞体関連分解(ER-associated-degradation: ERAD)は、小胞体が持つタンパク質の品質管理機構であり、小胞体内膜や内腔に生じた構造異常タンパク質(ERAD基質)を分解除去する。 本研究では、ERADに関与するDerlin-3に注目して研究を実施してきた。これまでに我々は、低酸素ストレスに対する適応応答において、Derlin-3欠損および、Derlin-3と複合体を形成してERADに関与すHerp欠損マウスが、野生型と比較して生存率の低下を示すことを明らかにしてきた。低酸素ストレスに晒した、心臓や肺の組織切片試料を作製して、HE染色やマッソントリクローム染色などを実施し、その結果、肺組織に大きな違いは見られなかったが、心臓組織における血栓や線維化が、Derlin-3欠損マウスで顕著であることが分かった。また、これらと並行して、Derlin-3を含むERAD複合体のメカニズムについての解析も進め、 マウス肝臓におけるERAD複合体の構成と調節について新たな結果を得てきた。 平成29年度は、低酸素下で観察された欠損マウスの心脆弱性は、通常条件下でもみられるのか、それとも低酸素ストレスに晒されて出現したものなのかを見極めるために、通常条件下での検討もおこなった。その結果、通常飼育下においてもDerlin-3欠損およびHerp欠損マウスは心機能異常を示すことが分かった。Herp欠損に関しては、チリ大学との共同研究により、心臓においてHerpが、異常タンパク質の除去だけでなく、細胞内シグナル伝達を制御するカルシウムイオンチャネルであるIP3レセプターをタンパク質分解により制御している事実を突き止めた。
|