2015 Fiscal Year Research-status Report
1分子計測による電位依存性プロトンチャネルのサブユニット間の協調性の解析
Project/Area Number |
15K18516
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川鍋 陽 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教(常勤) (10707128)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 電位依存性プロトンチャネル / プロトン / イオンチャネル / 一分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
電位依存性プロトンチャネルHv1/VSOPは単量体でイオン透過路とチャネルの開閉を制御する機構を持つにもかかわらず、2量体を形成し、サブユニット間で協調してチャネルの開閉を制御している。本研究ではこのメカニズムを、再構成系による単一チャネル電流計測と蛍光変化計測による構造変化の追跡によって“電位依存性プロトンチャネルのサブユニット間の協調メカニズム“を解明する。 本年度は、Hv1/VSOPの単一チャネル電流計測に向けての実験を行った。 (1)単一チャネル電流計測:マウス由来のHv1/VSOPを用いた計測ではpH差を極端にするなどの工夫をしたものの、再現性よく電流を計測できていない。そこで、この原因を探るために蛍光タンパク質を付加したHv1/VSOPを作製した。脂質へ再構成後、ジャイアントリポソームを作製して、共焦点顕微鏡にて観察したところ、Hv1/VSOPは膜に一様に分布しておらず、局所に集合してしまっていることが判明した。これはジャイアントリポソームを形成する過程に問題があることを示唆しており、現在リポソーム作製法から再検討している。 (2)発現コンストラクトの最適化:予備実験で大きな電流が通ることが予想されたウニ由来のHv1/VSOPの大腸菌による発現を試みた。ある程度の発現をすることが確認されたが精製するには不十分であり、大量発現を目指すにはさらなるコンストラクトの改善が必要であることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は単一チャネルの電流計測を実施したが、概要でも述べたように再現性よく電流を計測できていない。原因の一つとして、Hv1/VSOPの再構成リポソームの生成に問題があることが判明し、改善を試みている最中であり、研究実施状況はやや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)単一チャネル電流計測:前年度に引き続き、Hv1/VSOPのリポソーム作製・再構成法の改良および発現コンストラクトの改良を通じて、単一チャネル電流計測を目指す。 (2)蛍光変化を利用した解析:サブユニット間で異なる蛍光標識をしたHv1/VSOPをリポソームに組み込み、膜電位存在下での構造変化を1分子の蛍光シグナル変化として全反射蛍光顕微鏡TIRFを用いて観測する。蛍光標識の導入部位は研究計画では一例を挙げたが最適な部位を探る必要があるので、1分子ではなくマクロで測定できる系を立ち上げ、培養細胞やアフリカツメガエル卵母細胞などを用いて大量のコンストラクトを評価できるようにする。
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Causes of Carryover |
本年度は当初想定よりも人工脂質・界面活性剤などの試薬の購入にコストがかからなかったたため剰余が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
タンパク質を発現・精製・再構成するのに必要な培地・界面活性剤・人工脂質、遺伝子操作のための制限酵素・ポリメラーゼ・プライマーの購入で使用する。顕微鏡で使用するミラー・フィルターなどや電気生理学実験で使用する消耗品などにも充てる。国内および国際学会に研究成果を発表するための旅費や成果を論文に投稿するための投稿料などとしても使用する予定である。
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Research Products
(4 results)