2016 Fiscal Year Annual Research Report
Balancing mechanism of ATP synthesis and consumption in mammalian cells
Project/Area Number |
15K18522
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
柳沼 秀幸 国立研究開発法人理化学研究所, 生命システム研究センター, 研究員 (10733222)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 蛍光イメージング / ATP / 代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
ATP (アデノシン三リン酸) はあらゆる生体反応に関与する重要なエネルギー通貨であるにも関わらず、その濃度の時空間動態及びその調節機構はほとんどわかっていない。申請者は既存のATPセンサーの問題点を解決する単一GFPの蛍光変化を利用した新規ATPセンサー“QUEEN”の開発に成功し、大腸菌一細胞内でのATP濃度の定量計測に成功した。本研究ではこの技術を哺乳類細胞に応用し、代謝状態への摂動の応答を時間的空間的に定量計測することで、生命機能のエネルギー基盤であるATPの時間的空間的調節システムのアッセイ系を確立し、これを利用して分子的実態の検索を行う。 まず私は、37度の測定に適した新規ATPセンサーの開発を行った。それらを用いて細胞質のATP濃度を計測する系を開発した。この計測系と、過去に知られていたATP定量方法との比較を行った。その結果、従来の手法と遜色のない定量性が得られ、かつ従来の手法にはなかった非侵襲性や単一細胞での測定が可能であることがわかった。新規手法を用いてMDCK細胞における細胞内ATP濃度を求めた結果、これらの細胞では大腸菌と比べてATP濃度の細胞間のばらつきがかなり小さいことが示唆された。 さらに、細胞内のATP濃度に対して代謝の阻害剤が及ぼす影響を検討した。阻害剤の作用機序によって細胞内ATP濃度は異なる応答を示し、また細胞の状態によってよく効く阻害剤が変わることが判明した。また、アクチン繊維やミトコンドリアなどの細胞内の構造の周囲で起こるATPの変動を調べる実験を行った。
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