2015 Fiscal Year Research-status Report
シロイヌナズナT-DNA挿入株を用いた植物特異的なオートファジー欠損株の探索
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15K18526
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
井上 悠子 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (40637922)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | オートファジー / シロイヌナズナ |
Outline of Annual Research Achievements |
オートファジーは、栄養が欠乏した際に細胞内で自らの細胞成分を膜成分で包み込み、液胞へと運び込んで分解するメカニズムである。オートファジーは多くの真核生物に共通の機構であり、酵母を用いた研究で報告されたオートファジー関連遺伝子群(ATGs)のホモログは様々な生物に保存されていることが分かっている。 これまで私たちはシロイヌナズナのATG破壊株を用いた解析を行ってきた。それらの解析から、1)栄養条件に関わらず根端では恒常的にオートファジーが起こっていること、2)根の伸長速度が野生株に比べてオートファジー欠損株の方が遅いことを見いだした。またさらに2)がもたらす結果として、シロイヌナズナの発芽時の発根が野生株に比べて遅いことが分かった。この表現系を利用して、シロイヌナズナT-DNA挿入株の中から根の発根の遅い個体を選別するスクリーニングを行っている。このスクリーニングにより、ATG以外のオートファジー関連遺伝子を欠損した個体を得て、その解析を行うことを最終的な目的としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
野生株とATG破壊株を比較した場合には、根の発根速度は有為に差が見られたが、T-DNA挿入株をバックグラウンドにすると根の発根速度に野生株以上のばらつきが見られ、一次スクリーニングで選抜する株がかなり多いため目的の株を選別するのは見積もったより多くの二次スクリーニングが必要になりそうである。
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Strategy for Future Research Activity |
シロイヌナズナの野生株とATG破壊株を様々な条件の培地上で発芽させて、野生株とATG破壊株との発芽速度の差が最大になる条件を見いだそうとしている。野生株との差がもっとも顕著な条件を今後のスクリーニングに用いる。現在検討しているのは、炭素飢餓および窒素飢餓条件化などで、これらの条件化ではATG破壊株では根の伸長が顕著に遅いことはすでに報告されている。
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Causes of Carryover |
前年度未使用額(8,510円)の範囲で購入出来る必要な物品などがなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の予算と合算して必要な物品の購入費にあてる。
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